前回に引き続き、アーティストの一青窈さんが、新型コロナとワクチンについて質問。山田悠史医師がアメリカでの最新情報を回答します。

 


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接種証明書、アメリカでは義務?


一青窈(以下、一青) アメリカやヨーロッパの施設やお店を利用する際に、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のワクチン接種証明書や検査による陰性証明の提示が義務付けられていますよね。

山田悠史(以下、山田) そうですね。日本では今のところ政府や自治体による接種証明書の義務付けにまではいたっていないようですが、私が住むニューヨークでは習慣化したといってもいいぐらいに生活に浸透しています。

証明書は初め、紙ベースでしたが、今はスマートフォンのアプリになっていて、アプリの画面を表示することで確認します。劇場や映画館、スポーツジム、それに飲食店においても接種証明書を提示しないと原則的には入ることができません。

また、国によって状況が異なるので他国はわかりませんが、アメリカではどの国から来る場合でも、入国時には接種証明書を提示する必要があります。

――日本から外国に行く際に発行してもらう接種証明書は紙の書類が一般的なようです。濡れたり破れたりすると困るので、撮影した写真を見せたほうがいいのかなと思っているんですが、それでも証明書として通用するでしょうか。

山田 実は日本からいらした方の接種証明書の写真を拝見したことがあるんですが、その写真でもお店は入店を許可していましたから、地域によるかもしれませんが写真だけで通用するところもあるかと思います。

ただ、最近は虚偽のワクチン接種証明書を発行するような国、ビジネスが出てきていて、真偽の確認が難しくなってきていると問題になっています。日本の場合、政府または地方自治体、医療機関等により発行された証明書が有効とされていますが、写真にしてしまうとますます偽物を捉えにくくなる可能性が考えられます。

そのためニューヨークでは、ワクチン接種証明書と顔写真付き身分証明書の両方を持っていって、名前とともに写真と実際の本人の顔が一致しているかというのを確認してから入場を許可するというような手続きも行われています。国によって事情が異なるとは思いますが、今後の大きな課題となってくるかもしれませんね。


ワクチンを打てない子どもはどうする?


――ワクチンを打てない年齢の子どもがいる家族はどうするのでしょうか。

山田 ニューヨークでは今のところ、11歳未満の子どもは年齢を証明するものがあれば、接種証明書がなくてもお店や施設への入場が可能となっています。アメリカでは5歳から11歳の接種も始まっているので今後は変わってくるかもしれませんが、現在は入国時も接種証明書は必要ないです。

ニューヨーク市内では家族連れが普通にお店で食事をしていますし、ほぼコロナ前に戻ったと言ってもいいような状況です。日本からの観光客はまだ少ないですが、ヨーロッパからの観光客も非常に増加しています。

一青 そんなお話を聞くとアメリカに遊びに行きたくなりますね。でも、待機の期間を踏まえるとなかなか出かけにくいのが実情です。たとえば、接種証明書があれば入国時の待機日数が減るなどの措置はあるのでしょうか。

山田 アメリカではほとんどの州が、接種証明書があれば隔離・待機は不要としています。もし、日本からニューヨークに観光に来たいという場合も提示さえすれば隔離されることは一切なく、普通にお店に入って飲食することもできます。

日本では入国時に10日間の待機を求められますが、感染者の減少を受けてビジネス目的で入国する人はワクチン接種などを条件に、待機期間が最短3日間に緩和されました。ビジネス以外の目的であっても今の状況を延々と続けることは考えにくいので、引き続き議論は行われているのではないでしょうか。

おそらく、緩和において懸念されているのは第6波だと思うんですね。でも、そうなってしまった時にはまた規制を強めて、そうじゃない時に緩めるというような考え方もできると思いますので、その辺は臨機応変にできるといいのではないかと思います。

一青 私はやはり故郷の台湾の現状も気になってしまうのですが、台湾では14日間(15泊16日)の台湾政府指定の隔離ホテルへの滞在が義務付けられているようです。国によって大きく違うんですね。

山田 これは国によって考え方が大きく異なるところで、台湾のように外からの流入を防ぐために慎重に対応している国もまだ多いと思います。

 
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