一青 確かに日本でも第6波を心配している方がたくさんいます。山田さんがいるアメリカでは3回目の接種が始まっているようですね。

山田 アメリカでは9月にまずファイザー製の3回目の追加接種が始まり、10月にはモデルナ製とジョンソン・エンド・ジョンソン製も受けられるようになりました。

私もすでに9月の終わりに3回目の接種を終えています。アメリカの場合、現在は全員ではなく、高齢者と重症化リスク・感染リスクの高い人が対象です。私は感染リスクが高い医療従事者ということから3回目の接種を受けたかたちになります。

一青 日本では医療従事者や高齢者が優先されるものの、18歳以上であればどなたでも受けることができるようです。やはり3回目の接種をしたほうがより感染しにくくなるというような科学的根拠があるということでしょうか。

山田 数万人の臨床試験が行われた1回目、2回目の接種に比べると規模は小さいですが、3回目の接種も数千人単位の治験は行われています。

ワクチンは感染予防効果、感染しても発症を予防する効果、重症化リスクを抑える効果、命を守る効果、感染伝播を抑える効果、そして後遺症を減らす効果などと、期待される効果は非常に多岐にわたります。なかでもここで注目したいのが、感染予防効果と重症化を防ぐ効果です。

日本でもそろそろ2回接種から半年経過する方が出てきていると思いますが、今までにわかっていることをまとめると、2回目接種の半年後でも命を落とすような重症化リスクを抑える効果はかなり高いままで維持されているようなんですね。

一方で感染するリスクや、感染して発熱するような比較的軽い症状が出るリスクに対する予防効果は、半年経つとかなり落ちてきてしまうようなのです。つまり、3回目の接種は主に感染予防効果、感染しても症状を抑えてくれる効果を再び高める役割が大きく期待されていると思われます。

一青 私たちはどうしても感染者や重症者の数だけで判断してしまいがちですが、最前線で治療にあたっている山田先生から見て、ワクチンの接種によって患者さんの様子に変化は感じられますか。

山田 感染者が増えている時でも、入院する患者さんはあまり増えなくなりました。多くの方が入院せずに自宅療養で治るケースが多くなっているのではないかと思われます。

 


3回目のワクチン接種はしたほうがいい?


一青 とても根本的な質問かもしれませんが、コロナワクチンにおける西洋人と東洋人の違いがあったりするのでしょうか。

山田 例えば、日本やアジア諸国でもワクチンの研究が進められていて、それによると有効性あるいは副反応においても、今のところは国によって大きな差がないようです。なので、人種による差はそれほど大きくないのではないかと考えられています。

――ワクチンの接種においては副反応に悩まされた人も多いですが、3回目も副反応は覚悟したほうがいいのでしょうか。山田さんはどうでしたか。

山田 治験によると1回目、2回目とそれほど大きく変わらないというデータが出ています。私自身はというと、接種部位の痛みはありましたが熱が出たりといった他の症状はなく、比較的軽かったようです。

同僚には熱が出た人もいましたが、聞いた限りでは2回目より1回目の副反応に近い印象だと言っている人が多かったですね。(1回目よりも)2回目のほうで副反応が強いケースが多いので、おそらく比較的軽いということなのでしょうけれども、これは個人差があって比較するのが難しいのでイメージとしてとどめていただくのがよいかと思います。