12歳未満のコロナワクチン接種はどうなる?
一青 現在、日本国内では12歳以上が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のワクチンの接種対象です。私も子どもがいるので、12歳未満の子どもへの接種も必要なのかどうかはとても気になるところです。
山田 アメリカでは11月3日から一部で5歳から11歳のワクチン接種が始まりました。まだファイザー製のワクチンだけですが、大人と同様に2回接種します。1回目と2回目の間隔も全く同じということになります。
ただ、用量は大人の3分の1です。これについては3000人程度の臨床試験が行われていて、3分の1の量でも成人と同じくらい抗体量が増えていることが血液検査で確認されています。また、発症予防に対する有効性も大人と遜色ないという数字が出ています。
さらに安全性の観察も行われていて、どのような副反応が出るかを3カ月にわたって見ていたところ、成人と同様に発熱や倦怠感はあったものの重い副反応は確認されませんでした。10代、20代の若年層を中心にまれに見られるという心筋炎も、3000人の観察の限りでは1件もなかったと報告されています。
そういった結果を受けて5歳から11歳の子どもにも対象を広げることになっています。
一青 心筋炎とはどのような症状なのでしょうか。
山田 心筋炎は読んで字の如く心臓の筋肉に炎症が起きる病気です。一般的にはウイルス感染によって起こる場合が多く、胸が苦しくなったり、痛くなったり、あるいは動機がしたりといった症状を出します。重症化すると不整脈や心不全を引き起こし、命の危険にもつながってしまう病気です。
新型コロナワクチンがどのようなメカニズムで心筋に炎症を起こすのかは今のところ明らかにはなっていません。ただ、心筋炎を起こしてもほとんどの人が軽症で、後遺症もなく治ることがわかっています。
インフルエンザのワクチン接種はしなくてもいい?
――今年もインフルエンザの予防接種が始まっています。しかし、去年はインフルエンザの感染者が例年の1000分の1ともいわれるほど大幅に減ったので、「もう打たなくていいんじゃないか」という声も聞かれるのですが。
山田 確かに、結果的に流行しなければ打たなくてよかったかもしれない、という話になりますよね。しかし、こればかりは予想が難しいもので、去年流行しなかったからといって今年も大丈夫だろうとはいえません。これは予防医療全体にも言えることなんですが、基本的にワクチンは未来への投資と考えてほしいと思います。
例えば自動車のシートベルトも、交通事故に遭うから締めるというものではなく、万が一事故に遭った時に怪我を防ぐためのものですよね。インフルエンザワクチンもそれと同じで、インフルエンザが流行った時に感染して苦しむことを防ぐために打つというもの。ですから、あくまで未然に防ぐという考えのもとで、毎年打つことをおすすめします。
一青 子どもも同様に接種したほうがいいですか?
山田 そうですね。インフルエンザは新型コロナのように必ずしも年齢に相関して重症化リスクが増えるものではありません。むしろ大人よりも年少の子どものほうが重症化するリスクや合併症をきたすリスクが高いこともありますから、ワクチンを打つことはとても大事です。同様に重症化しやすい高齢者や妊婦さんもインフルエンザワクチンを打つことをおすすめします。
また、SNSで時々受ける質問が、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種することができるのかということ。これは原則として同時に接種することは推奨されておらず、日本では今のところ間を2週間空けることになっています。
例えば、11月1日にインフルエンザワクチンを受けたら、新型コロナワクチンは11月15日以降となります。その逆も同様です。
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