自分に合った管理の方法を選ぼう
もう一つの方法が、ピルボックス(日本では薬ケース、ピルケースなどと呼ばれることの方が多いようです)です。
ピルボックスは、製造元によって様々なものが手に入りますが、多くの場合、月曜日から日曜日までの飲む日の曜日がボックスに記載されていて、それぞれのボックスに処方された薬を自分で、あるいは家族が詰めていくことになります。こうすることで一包化同様、1回1回どの薬を飲むのかと悩む必要がなくなります。
また、曜日ごとになっているため、自分自身や家族が飲み忘れをしていないかの確認もしやすくなります。一包化と異なり、自分で詰めるので、薬の一部が変更になったとしても、全ての処方を一からしてもらう必要はないという利点もあります。
一方で、自分や家族が詰めなくてはいけないので、一包化よりも手間がかかるというのが短所です。また詰めるタイミングでミスが起きうるので、しっかりと薬を管理できる人がその作業を行う必要があります。
なお、このピルボックスは薬局だけでなく、オンラインストアや雑貨店などでも購入可能ですので、自分の好みに合ったデザインを選んで手軽に買うことができます。
そして最後にご紹介したいのが、薬の飲み忘れ防止アプリです。既にさまざまなものが開発されていますが、アプリに薬の情報を入力しておくと、スマートフォンがリマインドをかけてくれて、どのタイミングで何を飲むかを知らせてくれるというものです。薬局で開発され、処方薬の情報を自分で入力しなくても自動で表示されるというものもあります(参考文献1)。
スマートフォンがそれぞれのタイミングで知らせてくれ、飲んだらチェックするような仕組みになっているので、薬の飲み忘れがないかをしっかり確認することができます。また、アプリによっては血圧や体重などの情報も一緒に管理できるようになっていて、まとめて自分の健康情報を管理して、医師と共有するなどのプロセスが可能なものもあります。
欠点としては、慣れてくるとリマインドが来ても無視してしまうといった、ある程度の几帳面さがないとせっかくの機能が活用しきれず、むしろ足かせになってしまう点などが挙げられます。
ただ、医療者の立場としては、血圧の情報などを記録して共有してもらえると治療を決める上で有用なので、情報をアプリで管理することに慣れている方にはおすすめしたい方法です。高齢の患者さんで自分ではアプリを使うのが難しくても、家族や介護者がアプリで管理しているというケースもあり、そういった活用方法もあります。
このようにいくつかの選択肢があるので、自分に合った方法を選んで活用いただくと良いでしょう。
前回記事「効果は同じで安価。ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いとは?【医師・山田悠史】」はこちら>>
参考文献
1 6 of the Best Medication Reminders: Apps & More. (accessed Nov 20, 2021).
写真/shutterstock
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