映画だけで生きている人たちが羨ましかった

【前田敦子】出産、独立、離婚を経て、30歳を迎えた彼女が今思うこととは_img2
 

子育て真っ最中の忙しい日々ながら、女優の道へと邁進している前田さん。彼女が本気で演技を志そうと思ったきっかけは、AKBを卒業する直前に、山下敦弘監督の映画『苦役列車』に出演したことだったと言います。映画だけで生きている人たちが羨ましくて、AKBをやりながらではその熱量には絶対にかなわないと思ったのだそう。そして、次に目指すところが明確にできた瞬間、卒業に対する迷いも消えたのだとか。その後は“ただただみんなで熱く、いいものを作りたい”という思いを胸に卒業後の約10年を駆け抜け、最近では、野田秀樹さん率いるNODA・MAPの舞台『フェイクスピア』でのベテラン勢に負けず劣らずの芝居で注目を集めています。

 

「今、自分の中にアイドルの部分が残っているかと言われたら、多分もうないと思います」と前田さん。

「AKB卒業までは、他のメンバーそれぞれのファンの“いつ、あいつを落としてやろうか”みたいな、敵意に近い感情を感じていたので、各メンバーが戦国武将で、それぞれの城を築いていて、“今に見ておれ!”みたいな。でも卒業するとなったら“前田敦子は伝説だ”と何だかすごいふうに言っていただけて、AKBにいる時に言ってくれたらもう少しいたよ、なんて(笑)。でも、消えゆくから、儚く、美しく見えるんでしょうね」

現在は個人事務所で、仕事を受けるところから始まり、請求書の処理にまで携わっているという前田さん。写真や原稿のチェックももちろん自分で。自分の顔ばかり見ているとわけがわからなくなってくることもあるけれど、それでもきちんと見ておきたいと言います。

「表に出る自分の写真や発言、文章には責任がありますから。ずるずる溜め込まないように、できるだけ3日で戻せるように。“やばい! 2日経った!”なんてやっていますが(笑)」