【お悩み③】母の遺品整理が進みません


<ご相談>
先日、おびただしい量のモノを遺して母が逝きました。遺品整理をしたいのですが、「故人の自分軸」は確認する術がなく、途方に暮れています。というのも、生前の母はとにかくモノを手放すことに反抗的で、私が助言してもまったく聞き入れてくれなかったからです。考えるだけで、もう逃げ出してしまいたい気持ちです。

家中にあふれる“家族のモノ”は断捨離できる? 切実な悩みにやましたひでこさんが回答_img0
 

<やましたひでこさんの回答>
あなたの質問を読ませていただき、私も亡くなった母のことをしみじみと思い出しました。私の母もまた、あなたの母親と同様、「モノを捨てる」という事実一点に激しい抵抗を示し、思考が鮮明だった最後に言った言葉も「それ、捨てないで!」のひと言だったからです(もちろん、母自身がまったく無用だと思っていたモノであったにもかかわらず)。この時の私の激しい落胆と無念、あなたにならきっとお分かりになっていただけるはず。

 

モノを溜め込んだまま、自分で始末をつけることなく逝ってしまった母親。その始末を、心ならずも引き受けることになったあなたの戸惑いは、いかばかりか。かつて同じような状況にあった私がどのように考えているか、少しでも参考になれば幸いです。

故人が遺していったモノたち。それらは、もはや残骸でしかありません。生活の残骸、人生の残骸ですね。なぜなら、それを活かす人が居なくなってしまったからです。けれど、その中には故人の、あるいは故人さえも意識していなかった「埋もれた宝物」があるのでしょうね、きっと。

あなたはまず、この2種類が存在していることを理解しなければならないと思うのです。つまり、母親が遺していったモノたちの中には、「土砂」のモノもあれば「砂金」のモノもある。今は、これらが入り交じった状態です。そして、土砂が圧倒的な量であることは言うまでもありません。