「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」……。不眠の悩みは本人にとって、とても深刻なものです。こうした睡眠トラブルには、意外なことに「朝食」が関わっているとか! また不眠を解消し、毎日をいきいきと健康に過ごすためには「スマホ」「みそ汁」「果物」もカギとなるそう。ぐっすり眠るために、今日からすぐできる方法とは? テレビや雑誌、書籍などで人気の東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の濱裕宣さん、赤石定典さんの監修による、『かんたん家計ノート2022』のコラムからご紹介します。
●スマホVS.テレビ、寝る前により避けたほうがいいのはどちら?
寝つきが悪い、眠りが浅いと悩む人が増えています。気をつけたいのが寝る前のスマホの使用です。スマホが発するブルーライトの光によって脳が昼間と錯覚し、睡眠障害を起こしやすくなることがわかっています。テレビからもブルーライトは出ていますが、スマホは画面と目との距離が近いので、より大きな影響が出ます。
●不眠解消には「朝食」が重要!
不眠症が続くと朝は食べるより寝ていたいと思うものですが、よい睡眠には朝食こそが大事です。睡眠には「メラトニン」というホルモンが関わっており、その原料となる必須アミノ酸「トリプトファン」は、大豆製品、乳製品、魚、バナナに豊富です。また、食べる時間帯もポイントに。トリプトファンが体内でメラトニンに変わるまでに14~16時間かかるため、就寝時間から逆算すると「朝食で摂る」ことがカギになる、というわけです。
●みそ汁のベスト温度は50℃!?
みそ汁はみそ自体の栄養に加え、具材を取り合わせることで栄養価がさらにアップします。朝食べれば一日の活力になると同時に、みそに含まれる必須アミノ酸「トリプトファン」によって、質のよい睡眠をサポートしてくれます。ただし、みそ汁は沸騰させると香りが飛ぶだけでなく、みそに含まれる乳酸菌や麹菌は50℃以上で徐々に死滅し、酵母菌は70℃でほぼ全滅してしまいます。栄養を効率よく摂取するには具材が煮えてから少し冷ましてみそを溶き入れ、50℃くらいで食べるとよいでしょう。
●寝起きに「果汁100%ジュース」は体にいい? 悪い?
果物はビタミン、ミネラル、抗酸化物質の宝庫です。果物に含まれる果糖は吸収が早く、朝のエネルギー補給に適していますが、果糖は体内で脂肪に変わりやすいので食べすぎると太ってしまいます。果汁100%ジュースなら果物を食べるのと同じと思われがちですが、製造過程で多くの栄養素や食物繊維が除かれています。寝起きの空腹状態で飲むと血糖値が急上昇しやすいというデメリットもあります。
●「ぐっすり眠る」ために、夕食に食べたいもの
私たちは眠りにつくと、まず手足の体温が上昇して熱を外に逃し、体の中心部の体温(深部体温)が徐々に下がって自然と深い眠りに入っていくと考えられています。このメカニズムをサポートするアミノ酸「グリシン」が近頃注目されています。サプリメントもありますが、食品では、えび、かに、いか、帆立貝などの魚介類に多く含まれています。よい睡眠のためには夕食に食べると効果的です。
『かんたん家計ノート2022』シリーズ(全3回)第1回「骨密度の低下がシワやほうれい線の原因に! 40歳からはじめる丈夫な骨の作り方【慈恵医大病院栄養士監修】」
第2回「「不眠解消のカギは朝食にあり」「味噌汁のベスト温度は50℃」知っておきたい食の知識【慈恵医大病院栄養士監修】」
第3回「旬を味わう!ごちそうレシピ3品【さばのオーブン焼き・長芋の炊き込みご飯・れんこんの酢の物】」12月12日公開予定
『かんたん家計ノート 2022』
講談社・編
23万人が支持する「日本で一番売れている一番かんたんな家計簿」の2022年度版。巻頭の第一特集は手軽に作れておいしいと評判の料理研究家・堤人美先生の「お家で楽しむ季節の行事食」。お家時間が見直されている今日この頃。ひな祭り、七夕、重陽の節句、クリスマスなど、四季を通じてさまざまある行事がもっと楽しくなるお料理のレシピを、季節感や旬の素材を取り入れてご紹介します。
コラム記事:「健康になる食生活」
お正月太りの解消には? 花粉症対策には? より良い睡眠のためには? スマホ老眼には? など体の不調を予防、改善をして健康になる毎日の食生活のアドバイス。監修はテレビや、雑誌、書籍などで人気の東京慈恵会医科大学付属病院栄養部。
監修/東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 濱裕宣・赤石定典
健康と栄養バランスを大事に、日常生活の中で活かせる食事のノウハウの普及を目指している。栄養のプロの知識と科学に基づいた、わかりやすい解説に定評がある。監修した書籍は『その調理、9割の栄養捨ててます!』『栄養まるごと10割レシピ!』(ともに世界文化社)『その料理、つくり方間違ってます。 おいしさを逃さない「うま味」方程式』(講談社)など。
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