幸せを阻む難敵「劣等感」を克服するには?

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他人からもたらされる困難の乗り越え方を学んだところで、次なる課題は自分自身です。「どうせ自分なんてダメだから」といった劣等感もまた幸せの阻害要因といえるでしょう。その克服のヒントは、ベストセラー『嫌われる勇気』で日本でも脚光を浴びたオーストリアの心理学者アルフレッド・アドラー(Alfred Adler 1870-1937年)の言葉にありました。

We have said that feelings of inferiority are not in themselves abnormal.They are the cause of improvements in the human condition.
劣等感はそれ自体では異常ではないと言われてきた。それは人類のあらゆる進歩の原因である。

in itselfは「それ自体、本質的に、本来」。ここではfeelings of inferiorityを受けているので、in themselves(itselfの複数形)となります。
<例文>
Our project had a problem in itself.
(この企画自体に問題があったのだ)

 


劣等感をうまく使いこなす


アドラーは劣等感を、目標に向かって前進するための刺激、原動力、プラスのエネルギーと捉えていました。小池さんもまた劣等感の正体をこのように解説しています。

「劣等感は、目標に向かって努力し、人生をよりよくしようとしている結果、抱く感情なのです」

つまり、劣等感を抱くのは気持ちが前を向いている証拠。しかし、ここで安心してはいけません。実際に前へ進むには心がけも大事だと小池さんは説いています。

「この劣等感を、プラスの方向に向けるか、マイナスの方向に向けるかは、自分次第です。劣等感に対処する際、相手に対して嫉妬心(マイナスの感情)を抱くだけでは、進歩、成長することはできません。例えば、『相手を追い抜けるように、勉強の方法を変えてみよう』とか、『新しい企画を立ててみよう』とか、自分を高めるための目標を、新たに設定すればいいのです」

自分のなかで薄々わかっていても、他人から改めて言われてハッとすることがありますが、まさにその例ではないでしょうか。このように、名言にはうっすらとした考えを確信に変える効果もあるのでしょうね。
 


著者プロフィール
小池直己(こいけ・なおみ)さん:

広島大学大学院修了。カルフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員を経て、大東文化大学准教授、相模女子大学教授、就実大学教授・大学院教授を歴任。その間、NHK教育の英語番組の講師も務める。英語教育学、心理学を専門とする。主な著書に『スヌーピーで学ぶすぐに使える英語表現105』(祥伝社)、『ポジティブになれる英語名言101』(岩波書店)、『中学・高校英語を10時間でやり直す本』、『英語でたのしむ「アドラー心理学」』(いずれもPHP研究所)など、380冊以上、累計500万部以上。

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『偉人たちのポジティブ名言で学ぶ英語表現』
著者:小池直己 世界文化社 1540円(税込)

ベストセラー『やり直し英語』シリーズの著者が、リンカーン、ヘミングウエイ、マーク・トウェイン、シェイクスピア、アドラー、アインシュタインら古今東西の偉人たちの「ポジティブ名言」を厳選。心が元気になりたいとき、そして英語学習のモチベーションがほしいときにお勧めの一冊です。



構成/さくま健太