シンプルな材料なのにおいしい! 食卓がおしゃれ! と定評のある人気料理家・栁川かおりさん。実は栁川さんは現役の医師。さらに2人のお子さんをお持ちで、医師、料理家、妻、母としてフル回転で稼働しています。栁川さんが忙しい“共働き生活”の中で、いかにして美しくおいしい料理を提供し続けているか、その秘密に迫ります。

「下準備」と「パターン化した味付け」で
おいしさアップ。料理の幅もぐっと広がる

 
 

料理家でありながら現役の医師でもあり、中学生の女の子と小学生の男の子、2人の子どもを持つ母でもある栁川かおりさん。栁川さんが十数年にわたる共働き生活の中でたどり着いたのが、おなじみの材料を使って、素材そのものを味わうシンプルな料理。前回は、そんな「シンプルでおいしい普通の家庭料理」を作るためにちょっとした“ひと手間”こそがおいしさのためには重要で、実は時短にもつながる! ということをご紹介しました。

 

「シンプルでおいしい料理って、ごまかしがきかないからこそ、一見面倒に思える“ひと手間”が本当に大切なんです。でも、“ひと手間”といっても、ほんの数十秒から数分。そのあとの作業を楽にするためのものと思えば、そんなに苦にはなりませんよね」

栁川さんが料理時間の中でもっとも時間をかけるのは「下準備」。たとえば、葉物野菜は買ってきたときにまとめて洗ってストックしておけば、新鮮な状態を長く保つことができるうえ、使うときにはさっと取り出すだけOKです。お肉は、そのまま焼いたり煮たりするのではなく、事前に粉をふっておくとやわらかく仕上がるし、たれがしっかり絡んで旨みを閉じ込めてくれます。

また、栁川さんが使う調味料に特別なものはなく、基本の味付け比率を覚えておけば、さまざまな料理に使うことができるといいます。

「たとえば和食の基本となる味付けは『砂糖(またはみりん):しょうゆ=1:1』と簡単。照り焼きの場合は『みりん:しょうゆ:砂糖=大さじ2:大さじ1:小さじ1/2~1』です。同じ味付けでも素材が変われば違う味になりますし、サラダ油をごま油やオリーブオイルにするだけで風味が変わります。薬味や香味野菜、ゆずこしょう、マスタード、カレー粉などをプラスしても楽しいですよ」

そう、「あえて味つけはワンパターンに徹する」ことで時短につながるうえ、おいしさは深みを増し、料理のバリエーションも広がるのです。