スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

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毎日着られる名品と言ったら、このボーダーは間違いなくランクインするなぁ。
選ぶ素材や形は年々変化するけど、飽きたことがないんです。
“名品“とは時に気分じゃなくなることもあるけれど、きっとまたつけたくなるような古くならないもの。
飽きがこないアイテムにはなかなか出会えないものです。

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マイファーストセントジェームスはいつのことだったか……
記憶が定かではないのだけど、10代の終わりの頃、上野に通い詰めていた時代があるのできっとその時。
アメ横ど真ん中のセレクトショップで購入した……はずです。
アメ横は新品から古着まで小さなお店がたくさんあって、いろいろな国の名品もずいぶんここで教わりました。
名品と言っても時計やジュエリーではなくて、基本made in USAのモノ、さらにはメンズのものが多いんです。
メンズライクという概念も、ボーイッシュなテイストも、全部上野が教えてくれました。

 

なので私にとってはお正月前の買い出しの街であると共にファッションの街でもあるのです。
デニムやミリタリーの無骨なアイテムの中にそれはそれはキラキラ輝くセントジェームスのボーダー。
10代の女子がときめくのも仕方ないのです。
その時代、ピカデリーやシマロンという世にもピタピタなスキニーパンツが流行っていたので、ボトムはいつもそれらの色違い。
それに合わせるボーダーはゆったりサイズを選ぶことが多かったような。
それから流行と共に私のファッションも移り変わり、20代はふんわりスカートなるものに夢中になりました。もちろん足元はヒール。
その時は全体のバランスを取るためにボーダーのサイズはコンパクトに。
とにかくどんなボトムがトレンドが来ようとも、常にセントジェームスのボーダーはクローゼットにいたのです。
そして今のお気に入りはTシャツみたいに柔らかくて着心地が良い薄手のモーレ。
サイズはちょっと大きめの4。
今は動きやすさや着回しの良さから薄手がマイ定番になっています。
この柔らかさならインもできるし、そのままオーバーサイズに来てもカッコイイ。
いつかまたあのガシガシっとしたウェッソンをジャストサイズで着て、大きなパールと合わせるのが憧れのコーディネート! そういうコーディネートがあるのってこれから歳を重ねていく上で何よりおしゃれの楽しみです。
きっとシルバーヘアに最高に似合うはずだもの!

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余談……
今考えるとなんて進歩している街なんだろう。
上野にはメンズ、レディースなんて概念はない……(いや、あるか! 笑)
ただただ小さいサイズから大きいサイズまであって、とにかく試着しまくって男の子が小さいサイズを買ったり、女の子が大きいサイズを買ったりしていたんです。
20数年前、すでに上野にはユニセックスという考え方があったなんて……
未来都市! 今度は愛してやまない上野の話でも(笑)。
番外編、私と上野の物語!


写真・文/福田麻琴


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