美しさはもう、独りよがりなものであってはいけないから

資生堂150年周年、テレビCMが私たちに訴えかけることーーその60秒には、なぜこれほどこみ上げるものがあるのか?_img5
©️資生堂

資生堂はこれまでも、時代の折々に女性一人一人の美しさにスポットを当てた企業CMを世に送り出してきました。まさに、100人の女性がいたら100通りの美しさがあるのだと訴えるような。それらもまた心に響くものでしたが、この150周年を彩るCMには、美しさの概念に、紛れもない進化が見てとれます。
言うまでもなく、美しさは独りよがりのものであってはいけない、結果として誰かを幸せにするものでなければ……そんな重厚なメッセージが込められているのです。自分だけ美しければいい、自分が1番美しいという考え方はもうあってはならないという……。

 

もちろんそこには、資生堂という企業が、美を通して人々に勇気や幸せをもたらす存在でありたいという、強い覚悟のようなものも見て取れます。
でも同時に、一般の私たち一人一人の美しさも、誰かの幸せを願うような心を持たなければ、成立しない時代がやってきた事をも、ダブルミーニングでメッセージしている気がするのです。

美の伝導者であり、美の規範を作ってきた資生堂が、他者の幸せを願う人をこそ美しいと提示することそれ自体、ズンと胸に迫るものがあったということなのです。

SNSが人の心に棘を作り、 殺伐とさせていく世の中に、そうした“新しい美の概念”でわずかでもブレーキをかけらたらという使命感のようなものも、何かひしひしと伝わってはきませんか?