パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。
あの人はいくつ? そう考えさせない人
世の中には、年齢など、どうでもいいものにしてしまう人っているものです。例えば、夏木マリさん……。
この人いくつだろう? 自分より上だろうか? 下だろうか? 女同士は、初対面でもお互い反射的に、そういう見えない駆け引きをしがちです。女性は女性を評価する時、年齢を重要な要素として組み入れる癖があるからで、それは言うならば、女のサガ。宿命の1つなのかもしれません。
とは言え今、昔とは女性の年齢観が大きく変わったはず。年齢に対し、もっと大らかに柔軟になったはずです。ところが、そこだけは変わりがない。
今や、昭和の時代にはあり得なかった“40代50代が女の主役”という時代。若さだけにこだわる時代はとうに終わっているはずなのに、年齢への妙なこだわりもなくなっているはずなのに、“相手が何歳なのか”に何だかこだわってしまう癖ばかりは、あまり減っていないのです。
それどころか、昔よりも意識する年齢が広がってしまったくらい。なぜなら今、50代60代、70代でも、驚くべき若さを保っている人が増えたから、その分だけ相手の年齢に対する興味の範囲が広がっていると考えるべきなのです。
「あの人50代前半に見えるけれど、実は60代だったりして。まさかは70代ってことは無いわよね」
そんな想像をさせられるのは日常茶飯事。言うまでもなく、美容医療という新しいファクターが入り込んできたことにより、想定する年齢層が自ずと広がってきてしまった、そういうことなのです。
だから、年齢には無関心になってきたと思いきや、むしろ新しいこだわりが生まれてしまったということ。
そんな時代にあっても、年齢など想像もさせないような人っているのです。それが、夏木マリさんであったり、萬田久子さんであったり、あるいはまた73歳のトップモデル、メイ・マスク(あのイーロン・マスクの母親)だったりするのです。
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