映画やドラマ、小説、舞台にライブ、旅行など、感動体験を伝えたい、共有したいと思っても、感動が大きかったときほど上手く言葉にできないもどかしさを感じることはありませんか。「ファンがつくレビューの書き方」第2回は、思いを言葉にするのが苦手な人に、好きをシェアするヒントをお伝えします。
・ライブの感動のすべてを語ることはできない
・広角じゃなく単焦点で。フォーカスポイントをいかに絞るか
・話の流れを決めるステップ:『刑事コロンボ』のレビューを例に
・レビューのパワーは着眼点と執念に現れる
ライブの感動のすべてを語ることはできない
ミモレのオンラインコミュニティ〔ミモレ編集室〕では「好きを伝え、つなぎ、つながる」をコンセプトに、メンバー内公開限定のブログで好きなものや心動かされたことを積極的に共有してもらっています。メンバーの皆さんの言語化能力の高さに舌を巻くとともに、推しを語ることは、今やファッションのように自分らしさを表現するツールの一つになっているのを感じます。
“好きのシェア”が軽やかにできるようになった一方で、「上手く伝えられそうにない」「伝えたい思いはあるけど、言葉にできない」「書いてるうちに何が言いたいのかわからなくなってしまう」といったお悩みも。その躊躇や落ち込み、長らくひっそりと推し活動をしている私もとってもよくわかります。
好きのシェアの前提として、まずお伝えしたいのは「すべてを語ることはできない」と認識することです。
およそ2時間あまりの映画やお芝居、ライブを観たら、印象に残るいろんなシーンがあって、セリフがあって、音楽があって、いろんな感情がわいてきます。それらのすべてを体験したあなたと同じだけ、誰かに共有するのは無理なのです。
良いところが一つでも伝わったらバンバンザイと思ってください。いや、一つでも伝わったらじゃなくて、一つ伝えるつもりで書くほうがいいのです。あれもこれもたくさん伝えようとするほどに、すべての説明が言葉足らずになりがちです。1コに絞ったほうが読む人にも印象に残ります。
広角じゃなく単焦点で。フォーカスポイントをいかに絞るか
初めて作品紹介や商品レビューを書く人に「パンフォーカスじゃなくて、単焦点で」とお伝えすることがあります。要素をまんべんなく紹介するのではなくて、1ヵ所に絞ってという意味です。
パンフォーカスとは、手前から遠くまで画角の全体にピントがあっている写真の撮り方のことを言います。
反対にフォーカスポイントを主となる被写体に絞って、それ以外がボケている写真を「ボケ表現」と言ったりします。
カメラの知識がなくとも、単焦点でボケ味のある写真はおしゃれに見えやすく、主となるものを引き立たせ、魅力的に見せてくれる印象を受けると思います。
文章も同じことが言えます。パンフォーカスのように一つ一つを細かく写しとって、まんべんなく説明する方法は、文章が長くなりがちです。よほどの筆力がないと、読む方が「結局何が言いたいんだ」と途中で疲れてしまうことも。初級者の人ほど、すべてにピントが合う広角な褒め方より、1ヵ所にピントを絞った単焦点な褒め方をおすすめします。さらに言うと、上手いこと言うな〜って印象に残るレビューを書く人は、フォーカスポイントの決め方と絞り方が上手いのです。
では続いて、ポイントを絞ったレビューを書くための手順をご紹介します。
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