中間管理職こそ、「味方づくりスキル」が身につくチャンス

【中間管理職の悲哀】プレッシャーと突き上げの板挟み。そこで磨かれるスキルとは?_img0
 

それでは、どのように「上下の分断」を解消すればいいのでしょうか。

「さあ、思うぞんぶん話し合ってください」とぶんなげても、仁義なき殴り合いがはじまるだけ。必要になるのは、中間管理職の「ファシリテーターとしてのスキル」です。

ファシリテーターとは、話し合いの場を設定し、その場を「回す」人。ファシリテーターたる中間管理職は、上司部下それぞれの価値観を尊重し、誰もが意見を言いやすい雰囲気づくりをしなければなりません。そして両者が互いに理解し協力しあえるように、議論の方向性を誘導することも求められます。

 

ファシリテータースキルを磨くのに参考になるのが、2020年に刊行以来10万部を突破している『心理的安全性のつくりかた』(石井遼介著/日本能率協会マネジメントセンター)。心理的安全性のあるチーム=「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム」をつくる方法を具体的に教えてくれる一冊です。

こんなスキルを身につけることができれば、上司も部下もマキさんを頼りにし、マキさんが何かをしたいと思ったときには強い味方になってくれるでしょう。そう、これは、「味方づくりスキル」でもあるのです。

立場や意見が似た人同士がつながることは、そんなに難しいことではありませんよね。しかし、違う価値観の人たちとつながり、新しい価値を生み出すスキルはみんなが持っているものではない。そして、多様性社会という「新種の乱世」を生きる上で、より重要になっていくスキルではないかと思います。

マキさんの今のしんどい状況を、「味方づくりスキル」を磨く絶好の機会ととらえ直すことはできないでしょうか。マキさんの中間管理職ライフが、心身ともに健康で、かつ実りあるものになりますように。

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文/梅津 奏
構成/山本理沙


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