在宅勤務や、学校・保育園の休園に伴い、「通う学習」から、「ひとり学習」を迫られる機会が増えてきています。ついくつろいでしまう家だからこそ、自ら積極的に何かを身に着けるのは至難の業……。なかでも語学は、誰かとコミュニケーションをとるための教養だからこそ、その学び方に戸惑う部分も。
英語学習スタイリストとして人気の石原真弓先生に、そんな「ひとり学習時代」を逆手にとった、今だからこその、英語学習の在り方を聞きました。
家だからこそ、自分のペースで思い切り聞く、繰り返し真似る
英語を身に着ける最初のポイント、ことにリスニング力のアップにおいては、「音の変化」に耳を慣らすことだと、石原先生はいいます。
「英語には日本語にない発音があり、抑揚もはっきりしています。加えて、日本人は文字で見る英語と話したり聞いたりするときの発音のギャップに戸惑うことが多く、それが原因で聞き取れないということもありますね」
「例えば、get upは文字どおり読むと[ゲット アップ]ですが、英語を母語とする人の多くは[ゲラップ]のように発音します。このように、単語が連結する、語尾の音が小さくなる、[t]が[l]に近い発音に変わりやすい、といった「音の変化」に耳を慣らすことが大事です」
英語の音を自分のものにするためには、ネイティブスピーカーの発音を、何度も繰り返し聞き、マネるのが効果的です。しかし教室や授業など、対人での学習では、どうしても限られた時間のなか、発音を繰り返し聞くことが難しい。また、聞き取れない自分が恥ずかしく、先生に聞き返せないことも。
おうちでの学習は、おうちだからこそ、他人の目を気にせず、自分のペースで音を聞き、自信がつくまでとことんマネすることができます。ラジオや音声付きの教本、英語字幕付きのストリーミングサービスなど「これならできそう!」と感じる教材を使って、まずは気軽に、英語の音に触れてみるのがおすすめです。
順序は気にしない! 自分の「知りたい」をスタートラインに
英語と一言でいっても、ネイティブスピーカーのように完全に自分のものとして使いこなすのは至難の業。文法、英単語、会話、読解……とにかく様々な要素があり、どこから手を付けたらよいのか、学び方や順序なども、どうしても気になってしまうもの。
「自分の好きなところ、知りたいところからはじめれば大丈夫。順序は気にせず、ピンポイントから入って、楽しみながら英語に触れることが上達のカギです」
たとえば一冊の教本のなかでも、最初から最後までやりきらねば、と囚われすぎず、好きなところからはじめて大丈夫。苦手な箇所が見えてきたら、繰り返し聞いてみてもよいですし、必要のない箇所は飛ばすなど、自分の理解度・興味に合わせて大丈夫。つまみ食いから始める英語で全く問題ないのです。
「また、料理のレシピを読む、好きな俳優のインタビューを視聴する、子ども用の絵本を英語で楽しむ、など、好きな分野から入るのもおすすめです」
知りたい気持ちをスタートラインに、自分の好みとペースで、徐々に学習の幅を広げてゆけるといいですね。
資格取得のチャンスととらえ、モチベーションを維持する
自分のペースで進められる「ひとり学習」だからこそ心配なのは、ついついだらけてしまうこと。モチベーションを維持するために、石原先生がおすすめしてくれたのは、「英検」など、検定ものの受験。
英検とは、実用英語技能検定の略。国内で幅広く支持を得ており、年間で360万人以上が受験しています。
「英検受験のメリットは、一つの技能に特化せず、総合的な英語力を身につけられること。英検に出題される英文は会話でそのまま使えることが多く、日常英語にとても役立ちます」
資格という目に見える目標を設定することは、ゆるみがちな「ひとり学習」へのモチベーションを、うまく維持してゆくための一手かもしれません。
またおすすめは、まずは4級・5級を飛ばさずに、しっかりマスターすることだと石原先生。
「4級・5級は小学生や中学生向けという印象を持つかもしれませんが、実は日常に密着した表現や、基礎的な文法がつまっています」
いきなり高いレベルを目指すのでなく、土台をしっかり固めてゆくことが実は、本当に使える英語力を身につけるための、近道なのかもしれません。
「音」に迷ったときは、ツールに頼る
「ひとり英語学習」に挑戦してみようと思ったとき、ハードルとなるのが英語の「音」をどう聞くか。
今は英語字幕の出るストリーミングサービスやアプリ、YouTubeやTED Talksなど、様々な場所で、自分に合ったレベルの音を聞くことができます。
また、いきなり映画や実践英語の速度から始めるのは少しレベルが高い、というときには、思い切って、タッチペン教材を活用するのも一つの手かもしれません。
『タッチペンで音がきける!はじめての英検4級/5級』
タッチペンというと、小さな子ども向け、と思われがちですが、子どもから使えるものだからこそ、幅広く、全ての年代が自分らしく活用することができる仕様といえます。また、CDなどと異なり、知りたいフレーズや音だけを、ピンポイントで抜きだしやすいのも特徴です。
「ひとり学習時代」の今だからこそ、自分に合った形・ペースで英語に対応できるからだをつくり、基礎を固めるチャンス。新しい世界へと、一歩踏み出してみるのはいかがでしょうか。
タッチペンで音がきける! はじめての英検4級・5級
文/飯島未彩紀(講談社)
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