以前に「という」と「こと」を削って文章のもたつきをとる話を書きました。なくても通じる「という」と「こと」を削ったり言い換えたりすることで、文章のテンポを良くする方法です。
「文章のもたつき」ともう一つ気になるのは「文章のゆるみ」。言いたいことはなんとなくわかるけれど「締まりの悪い文章だな」と感じてしまうことがあります。これを私は「文章のゆるみ」と呼んでいます。今日は「文章のゆるみ」の原因となる指示語と修正のコツをご紹介します。
指示語が多いと解釈に時間がかかる
「文章のゆるみ」は私のオリジナルな言葉ではなく、編集部の先輩に自分の原稿をチェックしてもらった際に「うーん、悪くないけどゆるいな」と指摘された経験からきています。ゆるいとは、まどろっこしい言い回しが多く、言いたいことがあいまいな箇所があるという意味でした。
自分の文章の反省と研究の結果、「まどろっこしさ」や「あいまいさ」を生んでしまう大きな要因は指示語の多用にあると気づきました。
これ、それ、あれ、どれ……など「こそあど言葉」と国語で習った指示語。直前の言葉の重複を避けるために使うことが多い言葉です。私の場合は、少し原稿が書けるようになってきた頃から「同じ言い回しが近くで重複するのはダサい」と思って、このように、そのように、こういった、そういった……と指示語を多用するクセがついちゃってたんですね。中級者の陥りがちな論説文風のカッコつけでした。
国語や現代文などで、「下線の”それ”が示すものをa〜dから選べ」なんて選択式の試験問題がありましたよね。文学的表現ならばナシではないのですが、WEB記事やビジネス文章の場合、読んだ人が迷うほど、aからdまで解釈の余地がある文章じゃだめなんです。WEB記事を読む人は、入試の受験生みたいにじっくり作者の言いたいことを読み取ろうなんて向き合ってはくれません。「なんかわかりずらい文章だな」って思ってブラウザを閉じるだけです。
次ページでは、使ってしまいがちな指示語と書き直しのコツを事例を交えてご紹介します。
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