自分のお金の使い方を「知ること」からはじめる
苦手意識を取り除くための最初のステップは、「知ること」です。マネーの記事を読むようにする、わが家の支出状況を紙に書き出してみる、昨年1年間でいくら貯めることができたのかを振り返ってみる……など、ちょっとしたことでいいのです。
私が最近やっていることは、クレジットカードの請求明細をカテゴリー別にマーカーを引き、色別に電卓で集計しています。コロナ禍で外食は減ったけれど、おいしい食材のお取り寄せやワインの購入が格段に増えてしまいました。その他にも、外出できないストレスの解消、と称してネットでいろいろ買っています。
来月のクレジットカードの利用額だけみて「ゾッとする」だけでは、何も変わらない。そこで、ワイン代はピンクマーカー、食材お取り寄せは黄色マーカーなど色分けして電卓で集計する。何が使い過ぎなのかを知ることで反省できます。
「昨年1年間の貯蓄額」を振り返るのも効果的です。私のところへご相談に見える方には、必ず集計してきてもらいます。貯めた額が少なかったら、大いに反省。自分で考えていたより貯められたなら自信を持っていいのです。
自分のお金を知ることで、次にすべきアクションが見つかります。何に使い過ぎなのかわかれば、その支出をゼロにはできなくても、2割、3割減らす、というように。私は、ワイン代の予算を決めました。マーカーを引き始めてから、毎月その予算をオーバーしないように心がけるようになったのです。
こうした積み重ねをすることで、小さな自信を持てるようになり、お金に対する苦手意識が減っていきます。
一番やってはいけないことは「何とかなるさ」と、思考停止すること。長生き時代に入り、老後の生活はさらに長くなりそうです。残念ながら、アクションを起こさなければ、何ともなりません。
「何とかなるさ」ではなく「何とかするさ」と言えるスキルを身に付けましょう。自分の家計状態を知る、お金の知識を持つ、などちょっとしたことを実行することでスキルが身につきます。難しくないので、ぜひ「知ること」からはじめて、「お金に困らない人」を目指してください。
『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』
ISBN 978‐4‐06‐527308‐1
定価 1000円(税抜き)講談社 発売中
年金生活者や定年がそろそろ見えてくる年代になると「年金だけで本当に足りるのだろうか?」「この貯蓄額で足りるだろうか?」と心配になる人が増えてきます。心配するより、自分の家計を知って生活を見直すことが大切です。老後の資金を増やすのは難しいけれど、減らさないのはかんたん! まずはわが家の家計を記入して把握しましょう。
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深田晶恵
個人のお金の相談を受けるファイナンシャルプランナー(FP)。(株)生活設計塾クルー取締役。金融商品や保険商品の販売を一切せずに、中立的な立場で一般の方の退職後の生活設計などの相談を受けている。夫の両親との同居経験が長いため、高齢者のお金のアドバイスに定評がある。webサイトや新聞連載の執筆、テレビ出演など幅広く活躍中。著書『知識ゼロの私でも! 日本一わかりやすい お金の教科書』『図解 老後のお金 安心読本』(ともに講談社)など多数。