重要文化財 日新除魔図(宮本家本) 葛飾北斎 江戸時代・天保13~14年(1842~43) 九州国立博物館(坂本五郎氏寄贈)

「天があと五年くれたら 真の絵描きになれるのに」

世界中で知られる浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)の、90歳で亡くなる直前の言葉です。

平均寿命が50歳に届かない江戸時代において、最晩年まで旺盛な創作を続けた北斎。その北斎が83歳の頃、ほぼ毎朝の日課として描いていた獅子の図を集めたのが、九州国立博物館に保存される重要文化財の「日新除魔図(にっしんじょまず)」です。北斎が自分のために、さまざまな獅子や獅子舞を伸びやかに書き続けたもので、朝起きるとまずこの「獅子」を描いてからその日の仕事にとりかかったと言われています。

この「日新除魔図」は希代のコレクター・坂本五郎氏から、2017年に九州国立博物館に寄贈されました。その時の条件が「展示は九州国立博物館のみ」、つまり門外不出なのです。この春、全国の美術愛好家・浮世絵研究者たちが注目する「日新除魔図」の全場面が、日本で初めて一般に公開されます。北斎の日常をうかがうことができ、資料的な価値も高い全219枚は、豊かな想像力あふれる圧巻の連作です。

八月二十七日 雲中の凛々しい獅子
十月十八日 酒気の(力を借りた?)筆力 北斎は下戸というのが通説だが……

今から180年も昔、北斎が「日新たに魔を除く」ために描き続けた「日新除魔図」。ときには日付を間違えたり、3日分まとめて描いたり⋯⋯。素行のすぐれない孫の「悪行を祓うため」と言い放った、ともされる図ですが、「災いを除きたい」という北斎の力強い思いは、コロナ禍の状況にも重なり、現代の私たちの心にも響きます。

 


北斎の代表作を集めた展覧会は4月16日から

特別展「北斎」会期:2022年4月16日(土)~6月12日(日)
(前期:4月16日~5月15日、後期:5月17日~6月12日)
※展示替えあり
休館日:月曜日(5月2日(月)は開館)
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
会場:九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2)

※美術館の公式ホームページで、最新の開館予定をご確認ください。
美術館HPはこちら>>
 


「冨嶽三十六景」をはじめとする北斎の代表作も一挙に楽しめます。

冨嶽三十六景 凱風快晴 葛飾北斎 江戸時代・天保元~2年(1830~31)頃 大阪・和泉市久保惣記念美術館 (後期:5/17(火)~6/12(日))
冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 江戸時代・天保元~2年(1830~31)頃 大阪・和泉市久保惣記念美術館 (前期:4/16(土)~5/15(日))
 

九州まで行けない人は、公式図録で!
『北斎 HOKUSAI 日新除魔図の世界』

九州国立博物館・編著 2970円(税込)
講談社・刊

「行きたいけど、今はまだ遠出は控えたい」という方には、展示作品を一挙に楽しめる公式図録『北斎HOKUSAI 日新除魔図の世界』を。門外不出、九州国立博物館のみで公開を許された「日新除魔図」をはじめ、「冨嶽三十六景」などの代表作、美人画の名品、北斎晩年の傑作・小布施「天井絵」まで収録する決定版。一般書籍のため、全国の書店、インターネット書店でも購入できます。

チケット読者プレゼントのお知らせ
5組10名様に特別展「北斎」鑑賞券をプレゼント

九州国立博物館で開催される、特別展「北斎」(2022年4月16日~6月12日)の観賞券をプレゼントいたします。

応募締め切り:4月25日(月)〜11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

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構成/からだとこころ編集チーム