あるイベントでは、服装指定の項目に「ヒール付きのパンプス」というものがありました。派遣の中のリーダーが靴をチェックするため、初日はみなヒールを履いてきました。しかし、そのイベントは10時間近く勤務するため、どうしても足が痛くなってしまいます。

「ブラック校則」だけじゃない。売り場に一礼、接客中の水分補給NG...職場にもはびこる“謎ルール”_img0
 

そんな時、きれいめのスニーカーを履いてきた派遣スタッフがいました。リーダーはそれを咎めたのですが、イベントを主催するメーカーの担当者が、「スニーカーでいいですよ、ヒールしんどいでしょ?」と言ってくれ、翌日から全員スニーカーになりました。

ヒールじゃないといけないのか、ヒールなしの靴でもいいのかは、長時間立ちっぱなしの人にとっては死活問題です。リーダーは「ルールはルールだから」と最初はヒールを強制しましたが、実はそれで得をする人は誰もいなかったのでは? とすら思います。

 


従業員の犠牲の上に成り立つ「お客様ファースト」は本当に必要?


他にも、屋外での作業にもかかわらず「防寒着の着用が制限」されていたりと、接客業の現場では従業員の健康より、「従業員らしい」見た目が重視されることはよくあります。

ルール自体は必要ですが、働く人の体調や快適さを犠牲にしてまで強いられるルールに果たして意味はあるのか、と思うことがあります。

丁寧で過剰なお客様ファーストの接客は、時に従業員の犠牲と表裏一体です。人によると思いますが、筆者は働く人が快適な範囲での接客で十分だと思います。

目の前で店員さんが水を飲んでいても、たまに椅子に座ったりしていても、別に気にならないのに……なんて思う今日この頃です。
 

文/ヒオカ
構成/金澤英恵
 

 

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