アメリカの人気スポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』の水着特集号。その年のitガールが表紙に起用されるのが恒例で、人気モデルの登竜門としても知られています。
5月19日に発売された今年の水着特集号では、キム・カーダシアンと、74歳の現役モデルでイーロン・マスクの母でもあるマイエ・マスク、歌手のシアラ、ミュージシャンで起業家のユミ・ヌーの4人がそれぞれカバーガールに。どうやら4種類の表紙があるということみたいです。
編集長のMJ.デイ氏によると、このカバーガールたちは「多面性を持ち才能に溢れ、同時にセクシー」という視点から選んだそうですが、キムとマイエの起用は、美のダブルスタンダードの象徴のようにも感じます。
同じ号で帝王切開の傷跡が残るモデルのケリー・ヒューズを水着モデルに起用したことも話題になっていますが、表向きは美の多様な価値観を謳っているものの、ケリーはスリム体型の白人女性。帝王切開の傷以外は従来の画一的な美の基準から何ひとつ変わっていない、という厳しい意見も。
同じように、74歳という創刊史上最高齢のカバーガールを起用しながら、その一方で美容整形手術をしまくっているキムも起用していることに対し、彼女はカバーガールに相応しくない、失望したというコメントが、同誌のインスタグラムアカウントに多数寄せられているのです。
キムは先日のMETガラで、マリリン・モンローが着用した伝説のドレスを着るために3週間で7キロ痩せるという極端なダイエットをしたことが批判を浴び、バッシングを受けている真っ最中。そんな彼女がボディ・ポジティブをテーマにしたこの号のカバーガールに選ばれるのはおかしい、というわけ。編集長としてはキムの知名度で注目を集めたかったのでしょうが、タイミングが悪かったのですね。
なかには「私はかつてキム・カーダシアンを表紙で見てこんなにがっかりさせられたことはない。世の中にはとてもたくさんの、この機会を与えられたかもしれない女性がいるというのに。あなたたちは違うと思っていたけれど、この表紙は、結局お金と美容整形が大事なんだということを示している結果になったわ」という辛辣な批判の声もありました。
ダイバーシティをテーマに掲げ、高齢モデルやプラスサイズモデルを起用しつつも、結局はやはりスレンダーで白人的なステレオタイプの美が持て囃されているのは、現代のマスコミのジレンマ。ここからどのように変わっていくのか、興味深いところであります。
デイ編集長は今回の人選について、
「私たちは皆、進化するチャンスを得ることに値します。(中略)世界は彼女たちを一方的な角度からレッテルを貼りたがるかもしれませんが、 私たちは、彼女たちが誰であり、どんな魅力を所有しているのか、もっと様々な角度から捉えるようにしたいのです」
と説明しています。果たしてその思惑は、読者に届いたのでしょうか。
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