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円安が進み、輸入品の価格が上昇しています。円安になると価格が上がってしまうこと自体はどうしようもないことですが、値上がり幅は、製品の輸入依存度によって大きく異なります。私たちが普段、手に入れている商品はどのくらい輸入に頼っているのでしょうか。

海外から直接、輸入する製品は、ダイレクトに為替の影響を受けます。日本はエネルギーの多くを輸入に頼っていることや、円安によって電気代やガス代が激しく値上がりしていることは、皆さん、よくご存知だと思います。

 

電気代やガス代、あるいはネット通販などで購入する海外製品は、円安の影響をもっとも強く受ける商品・サービスですから、消費者にとっては分かりやすいパターンといってよいでしょう。やっかいなのは、お店で購入する商品としては日本製であっても、見えない形で輸入品を使っているケースです。実はこうしたケースの方が圧倒的に多く、企業のコストをジワジワと圧迫しています。

このところ値上げが相次いでいる食品類はその典型です。

パンや菓子類は原料として小麦をたくさん使います。日本で使われる小麦のほとんどは輸入ですから、円安になるとパン・メーカーや菓子メーカーにとってはコストが上昇することになります。

パンを例に取ると、私たちがお店で購入している価格の約10%は小麦粉のコストです。このほか、乳製品、油脂などもパンの製造工程で使われますが、これらも多くが輸入で成り立っています。パンの場合、価格の約30%が原材料となっており、その大部分が円安による影響を受けます。

円安の影響はそれだけではありません。商品を梱包するパッケージ類もメーカーにとっては大きなコストであり、売値の約10%に相当します。パッケージ類の多くは石油由来ですから、当然のことながら円安によって価格が上昇します。さらに言えば、商品を卸や小売店に配送するため、トラックなどを動かす必要があり、この過程で多くの燃料を消費します。言うまでもなく、ガソリンや軽油の原料となる原油は輸入品です。

パンと同じく、小麦から出来ている代表的な商品としてはビールがありますが、ビール各社も値上げを表明しました。

ビールの場合、税金が極めて高いという特徴があり、パンや菓子類ほど原材料の比率は高くありません。ビールの場合、純粋な麦やホップのコストは全体の数%程度です。一方、ビールの缶や段ボール類などパッケージや梱包に関するコストが全体の10%程度を占めています。合計するとビールの原材料比率は15%程度と考えてよいでしょう。

 
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