喧嘩より辛い……夫の「長い沈黙」


「それから半年以上、夫と会うことも連絡を取ることもなく、娘と犬との暮らしが始まりました。まだコロナ禍でさほど外出ができない時期で、私も精神的にダメージを負っていたようで、実はこの頃の記憶は曖昧です……」

当時、娘さんの幼稚園は再開したものの、たびたび緊急事態宣言や蔓延防止措置がとられ、まだ目立った外出や人と会うことができなかったアキコさん。その生活はかなり孤独だったと言います。

「広くない家で夫婦喧嘩をしながら過ごすのも大変でしたが、夫の沈黙はそれ以上に辛かったです。とにかく連絡が取れず、コミュニケーションはゼロ。一応結婚している家族なのに、可愛がっていた娘のこともスルー。怒りというより失望……いや、“あの人はいなくなってしまったんだ”という気持ちになり、このまま離婚するんだろうなと思い始めました」

そんな状態で、アキコさんは半年以上もご主人不在のまま過ごしていました。当時は専業主婦でしたが、お金の管理はアキコさんが行っていたため経済的に困りはしなかったのは不幸中の幸いです。

しかしながら完全にコミュニケーションを遮断してしまったご主人について考えることに疲れ、真剣に離婚に向けて仕事も探し始めたと言います。

「そんなとき、久しぶりに学生時代からの親友と会い、これまでの経緯と離婚を考えている旨を話しました。精神的に参っていた時期なので、内容はほとんど夫の悪口だったと思います。なのに彼女は『離婚はしない方がいいと思う』ときっぱり言ったんです」

 

ワンオペ生活に疲れ、ご主人の沈黙に追い詰められていたアキコさんにとって、この親友の言葉が転機になりました。

 

「私をよく知っていて、夫と面識もある彼女の意見に、グッと心を動かされました。さらに彼女は『離婚するにしても、仕事もしてない今じゃないんじゃない?』『アキコの幸せって何? 離婚の先にあるの?』とハッキリ言いました。夫のことを考えるのも辛かった時期ですが、やっぱり向き合わなければいけないと思い直したんです」

またこの頃、アキコさんの周りではオンラインの占いが流行っていたそう。コロナ禍の環境変化で家庭や仕事に支障が出ても、なかなか相談先がいない人が占いに頼りやすかったのだと思われます。

「こんな風に言うと怪しいですが、たぶん『見える』人はいると思います。実は3回ほど色々な占いを試しましたが、全員に共通して『離婚しない方がいい』と言われて。また『あなたにも原因がある』とハッキリ言う占い師もいました。一時はすっかり離婚する気でいましたが、周囲のフラットな意見を聞いてだんだん冷静になり……思い切って義母に頼み、夫の実家を強引に訪ねることにしました」