「あなたの結婚生活は、幸せですか?」

この質問にまったく躊躇いなく「はい」と答えられる夫婦はどれだけいるでしょう。

おそらく多くの方が即答できず、言葉を濁すでしょう。そして驚くべき夫婦事情を口にするかもしれません。

「婚姻制度」が定められたのは、実は120年以上前の明治時代。社会も価値観も変化していく中、多くの夫婦が様々な問題を抱えているのが現実です。

この連載では、現代の夫婦が抱える問題について取材・考察をします。結婚生活は山あり谷あり。そのとき夫婦は、どのような選択をするのでしょうか?

 

今回お話を伺ったのは、パート勤務中の千里さん(45)。結婚して20年近くになりますが、じつは夫と夫婦らしい会話が10年以上ありません。おまけに近居の義母とのトラブルに頭を抱えています。

「今思えば、27歳で結婚する少し前から、予兆はありました。なぜ、立ち止まらなかったのか……」と唇を噛む千里さんに、これまでの葛藤と、その中で見つけた身の処し方について伺います。

取材者プロフィール千里さん(仮名)45歳
職業:大学事務のパート
家族構成:同い年の夫、13歳の息子、9歳の娘。二世帯住宅で義両親と近居。
 


結婚式、新婦は100万円支出、まさかの新郎は……!?


「思えば、夫に抱いた最初の違和感は、古い話ですが結婚式のドレス合わせの時でした。私たちはそれぞれ都内の実家で暮らしていたので、その日は式場で待ち合わせをしていました。ところが、現れたのは、まだ数回しか会ったことのない義理の母と、なんとその女友達が二人。

『卓也が、今日は外せない用事ができてしまったの。楽しみにしている千里さんにどうしても言いづらいっていうから頼まれてピンチヒッターに来たわ。私が千里さんにぴったりのドレスを選んであげます!』って……。頭の中は『?』で一杯です。どうして彼は私に直接言わないの? 言いにくいからってお義母さんに頼むなんて、都合が悪くなると逃げるタイプ? しかもお義母さん、友達連れてきてるけど、誰? って、絶句でした」

取材のためカフェのテーブルに着くなり、昔の日記を見せてくれた千里さん。当時、よほど衝撃だったのでしょう、『お義母さん登場』とメモがあります。

黒目がちで大きな目が印象的な美人の千里さん。ピンクベージュのネイル、結婚指輪には年季が入っていて、恵まれた主婦のイメージそのもの。しかし夫婦関係で長年悩んでいるというのですから、外側からは分からないものです。

「ちなみにその結婚式の代金なんですが……夫に衣装代は各自で、そのほかは招待客の人数に比例して負担しようと言われました。ドレス代やヘアメイク代がかかる私は100万円ほど持ち出し、招待客が多かった夫側は御祝儀で100万円の黒字! そんなの聞いたことありますか?」

ため息をつきながら語ってくれた彼女は、二人の子どもを設けた夫に対して、胸の内で距離を取っていると言います。

千里さんにそうさせた「夫の見過ごせない振る舞い」とはどんなものだったのでしょうか?