今では図々しく人生を楽しんでいますが、自信がなかった若いころ、不安だらけだった若いころ、私は遠慮の塊でした。

まず、好きなものを好きと言えませんでした。例えばジブリとか。
自分よりもっと好きな人や詳しい人はいっぱいいるだろうから……なんて考えて。
知識や好き歴と、好きな気持ちは関係ないはずなのに。

 


「遠慮の塊」が招いてしまった誤解


そんな遠慮が大きな誤解を招いたことがありました。

日曜朝の情報番組「The サンデー」のスポーツを担当していた時、江川卓さんにとてもお世話になりました。打ち合わせをする度に、鋭い分析と、野球の面白さや難しさを野球以外のもので例える知識量とユーモアに、尊敬の念を抱いていました。

ご家族とも何度もお食事をご一緒させていただいたのですが、ある時ふと奥様から、「馬場ちゃんは、うちの人、あんまり好きじゃないわよね〜」と言われたことがありました。
江川さんが凄すぎて、私ごときが、「いえ、尊敬しています!」なんて言っても、軽々しく聴こえるだけじゃないのか!? なんて一人相撲して、結局、モゴモゴして答えられず……。
挙句、「いいのよ、無理しなくて。でも、うちの人をよろしくね」と優しくフォローして頂いて。

遠慮して、江川さんへ日頃の感謝も尊敬の念も伝えそびれ、奥様にはかえって気を遣わせてしまいました。
尊敬のあまり、緊張のあまり、言葉にならなくても、その感激や気持ちが伝わっていれば十分だと思いますし、むしろ微笑ましいと思うのですが、私の場合は、ちゃんと伝わらなかったどころか、誤解を招いてしまった。
もちろん、誤解はとっくに解けて、今では「大好きです!」と隙あらばお伝えしているのですが。

さらに、遠慮? が一生の後悔となってしまったこともありました。

 
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