ビブラート声で「笑顔が嘘くさいのよ」と美輪様の物マネ
肉まんに扮したキャラが出てきたり序盤はコメディタッチでしたが、子門慧音の母が危篤という知らせが入り、シリアスな病院のシーンに。「お母さ〜ん!」と駆け寄って悲嘆にくれている場面で、隣の客席に座っていたマダムが友達に「生き返るよ」とささやいて盛大なネタバレを……。観劇ごとにスタンプが押されるスタンプラリーも開催しているので、リピーターのお客さんが多いようです。
子門慧音が枕元の砂時計を反転させたことがきっかけで、18世紀のフランスにタイムスリップ。そして、「どんな境遇であろうとたくましく生きなさい」「誰かのために生きなさい」というお告げを聞いた子門慧音。「私は今、神の声を聞きました。母という名の神の声を……」と、啓示を受けて開眼します。母を大切にする、というストーリーは、母親世代のファン層にとっても嬉しい演出なのでしょう。
そこからは、出会う人々の求めに応じ、ジャンヌ・ダルクから教育係のおばあさん、衛兵、貴族の令嬢、と様々な姿に変身し、その場に応じて役割を果たしていきます。どんな衣裳でも着こなしてしまうのがさすがです(インスタではハイブランドを華麗に着こなしていますが……)。
氷川きよし公式Instagramより。この日はGUCCIのバッグに今回の舞台「ケイト・シモンの舞踏会〜時間旅行でボンジュール〜」で扮した教育係のババロアばあさんのマスコットを着けて。来場した観客への感謝のコメントも!
中でも令嬢のゴージャスなドレスと、衛兵の赤いマントと肩章姿は、マリー・アントワネットとオスカルのようで、ひとりベルばらができるのは日本では氷川きよしだけです。また、腰の曲がった教育係のおばあさんを演じている時は、ビブラート声で「笑顔が嘘くさいのよ」と、美輪明宏様の物マネを入れてきたり、芸のレベルが高いです。
「人のために生きなさい」という母の言葉に従い、善行と世直しに徹する主人公。ラブシーンや風紀が乱れるシーンもほとんどなく、まじめで感動的なストーリーでした。第二部でご本人が、今回の舞台は「自由・平等・博愛がテーマ」と話していました。観客側も啓発されて善行の輪が広がっていくような……。ファンのマナーが良いというのも納得。氷川きよしのファンから人類が浄化されていって、実際に世直しになりそうな可能性を感じました。
※初掲時、記事中の名称に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
(次回、第二部「氷川きよしコンサート2022in明治座」観覧レポート!)
構成/露木桃子
前回記事「「顔が古い...」ずっと同じベースメイク、を卒業して「下地でツヤ出し」したら見違えた!」>>
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