低所得・低物価・低金利・低成長が30年も続いている


この記事を読んでいる人の中には、バブル時代の日本の様子を鮮明に覚えている方も多いのではないでしょうか? 当時中学生だった筆者は、直接的にはバブルの恩恵にあずかっていませんが、街なかで肩で風を切るおにいさん&おねえさんたちを見るたびに「いつかはああなりたい」と純粋に憧れたものでした。そういえば、旬のハリウッドスターたちがこぞって日本企業のCMに出ていたのもこの頃でしたよね。当時は経済のことはよくわかりませんでしたが、それらのCMを通してジャパンマネーの強さを認識したものでした。

しかし、バブル崩壊後の日本は低所得・低物価・低金利・低成長という閉塞的な状況が約30年も続き、華やかなりしバブルの記憶が夢の中の出来事のごとくかすんでしまいました。それにしても、なぜ30年も状況が好転しないのでしょう?

 

その原因を分析し、分かりやすく説明してくれるのがエコノミスト・永濱利廣さんの著書『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』です。日本社会の問題点を冷静に分析する本書は、良い点にもしっかり目を向けていますので、不安な気持ちだけで読み終えることはまずないでしょう。

 

日本経済の現状をリアルに伝える本書の中から、今回は「賃金が上がらない理由」について書かれた部分を紹介いたします!
 

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各国の平均賃金と「ビッグマック」価格の比較
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※[2P目]世界共通で売られているハンバーガーの価格を比較することで、各国の購買力を比較しようというもの。イギリスの経済誌「エコノミスト」が毎年2回発表。