心理カウンセラーとして、モラハラ・DV・離婚・人間関係など女性問題の相談を2000件以上受けている福山れいさん。心理カウンセラーになったきっかけは、自身のモラハラ夫との離婚だったといいます。著書『7つのワークで「自分らしさ」を取り戻す モラハラ夫の精神的支配から抜け出す方法』では、37歳の時に2人の子どもを抱えてモラハラ夫と離婚した福山さんの体験を赤裸々に告白。「現状から抜け出したい」と願う女性に心を寄せ、一歩を踏み出すための知恵を授けてくれる本書から、今回は福山さんが歩んだ“モラハラ夫と離婚に至るまでの道のり”をご紹介します。

 


普段は大人しく、優しい面もあった夫が……


最初にお伝えすると、わたしの夫は四六時中暴言を吐く人ではなく、普段は大人しく優しい面もありました。みなさまの中には、それはモラハラではないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、モラハラ夫にはいろいろなタイプがあります。ご自身がつらいと感じたならば、それはモラハラなのです。

 

夫は、お酒でモラハラスイッチが入る人でした。お酒を飲むと人が変わるのです。素面(しらふ)の時には言いたいことを言えないのに、お酒を飲んで気が大きくなると言いたい放題で、時々暴れる。潰れるまでお酒を飲んで、次の日は自分のしたことを忘れている。そんな人でした。

1日中飲んでいるわけではなく、飲まない時もあったので、自分で依存症の自覚はなかったようです。でも、その節度のない飲み方は、第三者から見れば十分お酒に依存している状態でした。

 


周りから「かわいそう」と思われたくなかった


そんな酒乱の夫と知りながらも、「結婚すること」を捨てきれず、「結婚したら夫は変わってくれるかもしれない」という淡い期待を持ってした結婚。最初のころこそ、ふたりで楽しくお酒を飲むこともありましたが、こちらの思いとは裏腹に夫の酒癖はどんどん悪くなっていきました。

気づくとわたしは、夫からの被害を受けないように、お酒の濃度を水で薄めたり、お酒を隠したりするようになりました。なんとか機嫌のよい状態で寝てくれるように、常に夫の言動に全エネルギーを使うようになっていました。

同時に、幼少期からの癖で、周りの目が気になって仕方ありませんでした。自分がどうあるかではなく、自分がどう見られているかが重要だったのです。
「せっかく結婚したのに、あの人の夫は酒癖が悪いからかわいそう、苦労してそう」
そんな風に思われるのがイヤで、傍から見たら幸せな家庭に見えるように、家庭内のことはひたすら隠して過ごしていました。きっと外から見たら、「優しい旦那さんがいて幸せそう」と思われていたことでしょう。