四季のある日本の豊かな自然の中に暮らす私たちにとって、「水」は身近な存在。美術の世界でも古来よりさまざまに描かれてきました。予想外の短い梅雨が明けて水が恋しい今、東京・広尾の山種美術館では、「【特別展】水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―」が開かれています。日差し照りつける夏、涼感にあふれた美術館で過ごすのはいかがでしょうか。

展示作品の中から、今回は選りすぐりの3点をご紹介しましょう。

 


水のかたちいろいろ、雨・海・そして滝

歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》
1857(安政4)年 大判錦絵 山種美術館
[前期展示7/9-8/14]

印象派の画家・ゴッホが模写したことで知られる、浮世絵の中の雨です。直線で表された突然の驟雨(しゅうう)。にわか雨に橋を急いで渡る人々。安宅(あたけ)と呼ばれた対岸の一帯は、すでに雨に煙っています。「大はし」は元禄6(1693)年に隅田川に架けられた新大橋のこと。広重晩年の代表作、「名所江戸百景」のうちの1図です。

横山大観《夏の海》1952(昭和27)年頃 紙本・彩色 山種美術館

近代日本画を代表する画家・横山大観。描くのは「富士山」というイメージが強いでしょうか。実は「海」も、画題としてしばしば取り上げています。荒々しい波と夜の海を照らす月。波音まで聞こえてきそうです。四方を海に囲まれた日本では、海も、「水のかたち」を表す重要なモティーフの一つです。

千住博《ウォーターフォール》1995(平成7)年 紙本・彩色 山種美術館

滝を題材にした「THE FALL」で注目を浴び、国際的な活躍を続ける千住博。《ウォーターフォール》は「滝」シリーズの中でも初期の作品です。水の飛沫を浴びているような錯覚すら覚える、幻想的な世界に浸ることができるでしょう。

 

展覧会情報
【特別展】水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―


会期:2022年7月9日(土)~9月25日(日)
※会期中、一部作品の展示替えあり[前期7月9日(土)~8月14日(日)、後期8月16日(火)〜9月25日(日)]
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
ただし7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)は開館、7月19日(火)、9月20日(火)は休館

※会期・開館時間などは変更する場合があります。詳細は事前にHPでご確認ください。

チケット読者プレゼントのお知らせ
5組10名様に特別展「水のかたち」鑑賞券をプレゼント

東京・山種美術館で開催されている、特別展「水のかたち」(2022年7月9日~9月25日)の鑑賞券をプレゼントいたします。

応募締め切り:7月29日(金)〜11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

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構成/からだとこころ編集チーム、山崎 恵