男女別定員、「優秀さ」への敬遠……教育へのアクセスは本当に平等?

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この調査で日本では男女格差がほぼないとされている教育と医療へのアクセスの分野ですが、実態はもっと複雑です。
2018年に、東京医大など複数の大学が女性を合格しにくくする不正な点数操作を行っていたことが発覚したのは記憶に新しいですね。その後は差別禁止の具体的ルールが設定され、2021年には女性の合格率が男性を上回りました。東京都の都立高校が男女別定員を設けていることも問題視されています。段階的に廃止するということですが、この春の入試でも、もし成績順に合否を決めていたら、不合格となった女子284人が合格していたはずであることが判明しました。一生懸命勉強して、十分な結果を残していたにもかかわらず、性別を理由に不合格となった女子が今年だけでこんなにいるのです。入試での性差別だけでなく、「女の子はそんなに頑張らなくていい」などの周囲の声によって挑戦する機会を得られず、進学を諦めている女性もいます。東京大学の女性学生の割合は長年2割に留まっており、東大を出たというと敬遠されるからと、出身大学名を言わない女性も。「女性は男性を凌駕してはならない」という社会通念が未だに根強いことの表れです。個人の能力にあった学びの機会がジェンダーによって制限されてしまう状況がある限りは、格差がないと言うことはできません。