沖縄料理を起点にした「わたぶんぶん」なインタビューに


皆さんは、「心に残っている料理」を聞かれたらどのように答えますか。高級レストランのコース料理? グルメサイトで高評価だった一品料理? もちろん、実家の家庭料理を挙げる人もいるでしょう。

いずれにせよ、「味」だけで記憶に残っているパターンはそう多くないと思います。誰と、どんな状況で食べたか……食の思い出には料理以外の要素も大いに含まれているのではないでしょうか。

そのことをしみじみと感じさせてくれるのが、ノンフィクション作家・与那原恵さんのエッセイ『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』です。タイトルから連想されるように、沖縄料理をメインに紹介している本書。食材や調理法、味の説明も十分に読みごたえがありますが、真骨頂はなんといっても料理にまつわる「人」とのエピソードです。不思議な出会い方、型破りな言動など味わい深い逸話がちりばめられていて、筆者は読み進めるうちに映画を見ているような感覚に陥りました。

今回は本書をベースに、沖縄県出身の筆者が、沖縄にルーツを持つ与那原さんにインタビューを敢行。沖縄料理への思いだけでなく、沖縄と本土との価値観の違いや50代、60代を迎える方へのメッセージまで語っていただき、まさに「わたぶんぶん(おなかいっぱい)」な内容となりました!

沖縄のおばーが放った衝撃の一言、食がつないだ縁。『わたぶんぶん』の著者が語る料理そして沖縄_img0
 

与那原 恵(よなはら けい)さん:1958年東京都生まれ。ノンフィクション作家。『赤星鉄馬 消えた富豪』(中央公論新社)、『帰る家もなく』(ボーダーインク)、『美麗島まで 沖縄、台湾 家族をめぐる物語』(筑摩書房)、『まれびとたちの沖縄』(小学館)、『街を泳ぐ、海を歩く カルカッタ・沖縄・イスタンブール』(講談社)など著書多数。『首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像』(中央公論新社)で第2回河合隼雄学芸賞、第14回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(文化貢献部門)受賞。写真撮影・蔵真墨。うしろのポートレートは古波蔵保好。