汗水流して働いている人を見て「この感覚を忘れないようにお金を扱っていこう」
暗号資産(仮想通貨)も最近暴落などありましたが、肉乃小路さんはどのようにお考えでしょう?
「基本的に勧めません。ポラティリティ(変動幅)が大きすぎるので。リアルな通貨の代替にはならないと思います。それに暗号資産(仮想通貨)は雑所得の取り扱いになるので、たくさん儲かると半分くらい税金で持っていかれてしまう。だから割に合わないのかなって思います。マイニング(暗号資産の取引を記録する代わりに報酬をもらうこと)は電気代がかかるので、エネルギー高になっているからそういった意味でも未来が感じられません」
確かにマイニングするには、すごい高額の高性能ハードディスクを熱暴走するくらい使い倒さないとできない、と聞きます。環境負荷も高いです。
また、最近は「TKO」木本武宏氏が、FXや暗号資産(仮想通貨)、不動産投資などをめぐる多額の投資トラブルを起こして活動を見合わせている件がニュースになっていました。負けを取り戻すために心が惹かれたこともあったのですが……ハイリスクの投資は素人には危険です。
「NFT(非代替性トークン。偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)はもうちょっと未来があるかなと思いますね。暗号資産(仮想通貨)と同じブロックチェーン使ってコピーしにくい仕組み。アーティストさんが特に助かるんじゃないかな」
9歳の少年のドット絵がすごい高値で売れたり、夢が持てます。ただ私がやった時はそれほど上がりませんでしたが……初心に戻ってドット絵を描いたほうが良いのかもしれません。
ところで肉乃小路さんが今まで投資で成功された経験について伺うと、
「私は面倒くさがりなんで、基本は投資信託を買います。でも投機的なんですが、WTIという原油の指標に連動したETFには手を出しました。市場をウォッチするのに原油価格の推移は要チェックなんです。なぜなら原油も産業の血液だからです。最近上昇していたので、利益を取らせていただきました」
石油の価格など、毎日チェックを怠らなかったそうでさすがです。素人としてはバレルという単位がよくわからなくてスルーしていました。
「コロナの時に石油は一時的に需要がなくなって下がったんですね。その時に買い足して、毎日チェックしていたら最近、高いのがわかったんです」
投資リテラシーを高めるためには、どこをチェックすれは良いのでしょうか。
「『ワールドビジネスサテライト』と『日経ニュース プラス9』、この2つは見るようにしています。主な情報源は日経新聞とテレ東です。意識高い系のNewsPicksもチェックしています」
つい22時は『報道ステーション』など観てしまいますが、お金への意識を高めるためにはテレ東に合わせたほうが良さそうです。さっそく夜に観てみたら、世の中のニュースを経済の観点で冷静にレポートしていて、コロナのニュースなどでも少し引いて観られました。
ところで石油で儲かった肉乃小路さん、金運を上げるためにやっている習慣はあるのか聞いてみると……
「個人的に神社仏閣に行くのは好きなんですが、お金のことは頼んだりしないですね。私は、市場(いちば)みたいなところに行ってそこで働く人を見るのが好きです。もしくは、明け方のドン・キホーテ新宿店。汗水流して働いている人を見ると、私もがんばんなきゃいけないなって思うんですね。これが原点だよね、この感覚を忘れないようにお金を扱っていこう、って。元気がない時にパワーもらえます」
投資で一攫千金、不労所得を狙いがちですが、人間としては、やはり実際に汗水流して働いたほうがお金の大切さを実感できます。そんな価値観で先日同年代の別の人とも意気投合しましたが、昭和の考え方なのでしようか? エモい価値観ということでよろしくお願いいたします。実際の労働と投資の両方をバランス良く取り入れて、地に足がついた金銭感覚を保っていきたいです。
写真/大坪尚人(本社写真部)
構成/露木桃子
前回記事「タイの青年に貢いだお金も、投資信託の含み損も、日本経済活性化に貢献している【肉乃小路ニクヨさん前編】」>>
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