実生活では文系も理系もつながっている

「文系or理系」の二者択一が可能性を狭める。灘→東大→MIT出身者が考える「本当の学び」とは_img0
 

「いやいや、私は理系なんて絶対無理だから、これでいいです」
「文系科目は苦手なので、分けてもらったほうが楽です」

と思う人もいるかもしれませんね。しかし、双方に通じた思考は、社会に出てから生きてきます。たとえば、マーケティングの仕事。「商品を買ってもらうにはどうする?」と考えるとき、人の感情に訴えかけられるような、言語的・情緒的アプローチはもちろん必須です。

その一方で、消費者の行動をデータにとって分析する、数的なアプローチも欠かせません。両者を自由に行き来できるような思考力を持っていたら、きっと素晴らしい仕事ができるでしょう。「数字ギライ」に関しても、一生変わらないと決めつけるのは禁物です。実生活に結びつく形で考えてみると、突然面白く感じることがあるからです。

子どもの時期なら、ゲームに結びつけるのが近道。サイコロを二つ降って、「8」以上が出たら勝ち、などの賭けをしてみると、すべての数字が均等に出るわけではないことがわかってきます。実は「7」が出る確率がもっとも高いのですが、こういう遊びの経験から「確率」の面白さに目覚めることは多々あります。友達とボードゲームをするときや、ポーカーなどのカードゲームをするときも、確率論を使うと勝率を上げることもできます。身近に数学を使う場面は結構転がっているものです。

青年期以降なら、株や仮想通貨などの上下に着目するのも面白いでしょう。売り買いする人々の心理や行動が、数字にどう影響するか。そこにも一定の理論があります。そんなアプローチなら、実用的かつ実践的。無味乾燥に見えていた数字に、これまでと違う光が当てられるのではないでしょうか。

学問のジャンルには、たしかに一定の合う・合わないはあります。しかし日本式の「文系/理系」という二分割にとらわれるのはもったいない。すべての学問が「論理」でできている以上、文系と理系もつながっています。「これは文系(理系)科目だから」と敬遠せずに、色々な知識に触れてみると、予想外の知的刺激を受けられる可能性大です。