一番大切なのは、「ちゃんとダラダラ休む」こと

 

今の自分の状態をチェックした後、次は何をすればいいのでしょうか。

本の中には、相性のよい先生の見つけ方、薬の種類のこと、職場にどう説明すればいいかなど、詳しく具体的な治療法についても書かれています。しかし、不調の初期段階で何より大切なのは、「ちゃんとダラダラ休む」こと。ただ休む、ゆっくりする、ではありません。「ダラダラ」休むというのがポイントです。


心の水位が落ちているときは、何もできないし、気力もないし、横になっていたいものなのです。
それでいいのですと言っても、皆さんすぐには納得できません。
「回りの人はみんなちゃんと朝7時には起きて働いているんです。私だけ寝ているわけにはいきません」―『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』より


回復曲線に乗っていくためにも、まずは十分に休むこと。服を着るのもお風呂も食事も面倒くさいのだということを受け入れて、ぜんぶスキップしてダラダラしちゃう。それくらいの開き直りが大事です。

 


休むことで、生きやすくなる。休むことで、新しい自分になる
 

自分の不調が深刻なものだと自覚してもなお、休むことに罪悪感を抱いてしまう人は多いでしょう。「弱い自分を受け入れられない」「こんなに休んでしまって、自分はダメ人間だ」そんな焦燥感が背景にあるのだと思います。

しかし尾林先生は、多くのメンタル不調の事例を見てきた経験から「悩んだだけ、回復した後に、より良い自分に生まれ変わって、より良い日々が待っているのです。」と書いています。

自分の苦しみを認め、向き合い、治療する。

メンタル不調から回復しようとする過程には、「新しい自分」を模索するという側面もある。そう考えると、休むことへの罪悪感も薄まっていくような気がします。


コロナ鬱、なんて言葉もできました。生活スタイルが変わったり、不安なニュースが飛び交ったりすることで、メンタル不調に悩む人はますます増えているのかもしれません。メンタル不調に向き合う気持ちを楽にしてくれるこの一冊を、常備薬のように本棚に置いておくのはいかがでしょうか。


文 /梅津奏

 


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