「イヌがなぐさめてくれている」は人間の思いこみ?


動物は、きみたちがどんな気持ちでいるかについて考えたり、わかったりすることはありません。ペットのようにいっしょにくらしている動物でも、飼い主である人間の感情をわかったうえで行動しているとはいえないのです。

「でも、うちのイヌは、わたしが泣いているとき、ほっぺをペロペロなめてなぐさめてくれたよ。」という人もいるかもしれませんね。しかし、「イヌがなぐさめてくれている」というのは、残念ながら人間の思いこみなのです。

友だちのほっぺに涙が流れていたら、きみは「ころんでけがをしたのかな。」とか、「だれかに怒られたのかな。」なんて考えてなぐさめたり、気をつかって話しかけないようにしたりしますよね。

でも、動物は涙がどんなときに流れるのかを知りませんし、そもそも「涙」というものがあることすらわかっていません。では、なぜほっぺをなめるのでしょうか?

 


イヌは人間の涙をどう見ている?


「おや? ほっぺに光るものがあるぞ。いつもとちがうな! これはなんだ?」

イヌにしてみれば、そうふしぎに思って、ほっぺにある「光るものの正体」をたしかめているだけなのです。

 

反対にいいますと、相手のようすから、どんな気持ちでいるのかなと考えたり、助けになりたいと思ったりするのは、人間だけが持っている力です。人間は動物よりもずっと発達した知能を持っていて、この知能のおかげで、相手の気持ちを考えたり、思いやったりできるのです。

ペットがいうことを聞いてくれなかったからといって「どうしてぼくの気持ちをわかってくれないんだよ!」と怒るのは、すじちがいだということです。