せっかち、怒りっぽい、競争心が強い人は要注意

加齢で酒は弱くなる?コロナ禍のひとり自宅飲みはキケン?「お酒と健康」のモヤモヤを医師が解説_img0
写真:shutterstock

吉本さんは、「ストレスを受けやすい、いわゆる『タイプA』と言われる人も危ない」とも言います。

「タイプAとは心理学の用語で、せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的な行動パターンを示す人を指します。このタイプは喫煙、多量飲酒などに陥りやすく、かつ日常的なストレスを受けやすい傾向にあります。協調性が求められる日本において、タイプAの行動パターンは表に出しにくいこともあり、外飲みでストレスを発散していた人もいると考えられます。怖いのは、酒量が増えるにつれ、『オレなんかどうせダメだ』とネガティブになってしまう人。罪悪感や自責の念を払拭するために、さらにお酒を追加するようになると、ますます危ない」(吉本さん)

「酒を飲んで楽しい気分になれないのであれば、それほど残念なことはない。そういう方こそ、酒量をコントロールする必要があるだろう」と葉石さん。ストレス発散のはけ口が「お酒」と自覚している人は、アルコール依存症や病気リスクを減らす観点からも、今一度自分の飲み方を点検するともいいかもしれません。

自宅飲みが当たり前になったニューノーマル時代に、お酒とどう向き合っていくか。生涯現役の酒飲みを目指す人はもちろん、ここ数年なかなか会えずにいる「また一緒に飲みたい大切な人」にも知ってほしい、お酒と健康の正しい知識が詰まった一冊です。

 

医師紹介
樋口 進(ひぐち・すすむ)さん

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長。1979 年東北大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局、1982年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。1987年同精神科医長。1988年米国立衛生研究所(NIH)留学。1997年国立療養所久里浜病院臨床研究部長。副院長を経て、2012 年から現職。日本アルコール関連問題学会理事長、WHOアルコール関連問題研究・研修協力センター長、WHO専門家諮問委員(薬物依存・アルコール問題担当)、国際アルコール医学生物学会(ISBRA)前理事長。

吉本尚(よしもと・ひさし)さん
筑波大学健幸ライフスタイル開発研究センター センター長。筑波大学医学医療系 地域総合診療医学 准教授/附属病院 総合診療科。2004年筑波大学医学専門学群(当時)卒業。北海道勤医協中央病院、岡山家庭医療センター、三重大学家庭医療学講座を経て、2014年から筑波大学で勤務。東日本大震災を契機に「WHOのアルコール関連問題のスクリーニングおよび介入に関する資料」を翻訳するなど、アルコール問題に本格的に取り組み始める。アルコール健康障害対策基本法推進ネットワークの幹事として、プライマリ・ケアを担当する立場からアルコール対策に関わる。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・家庭医療指導医。2014年10月、第3回「明日の象徴」医師部門を受賞。
 

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『名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義』
著者:葉石かおり 監修:浅部伸一 日経BP 1650円(税込)

酒をこよなく愛する酒ジャーナリストの著者が、ニューノーマル時代にこそ知っておきたい「正しい酒の飲み方」をさまざまなスペシャリストに徹底取材! レモンサワーが逆流性食道炎の原因に? 飲み過ぎると下痢になるのはなぜ? 酒をよく飲む人は新型コロナにかかりやすい? などなど、酒と健康にまつわるあらゆる疑問を調査し、科学的に解明された「後悔しない飲み方」を教えます。



構成/金澤英恵

 

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