「わかっていない」男性たち


あなたの周りに、こんな男性はいませんか? 風邪を引いて寝込んでいる妻を見て、「俺は外で食べてくるから、寝てていいよ」と優しく言う夫。家じゅうのゴミが入った袋を出勤ついでにゴミ捨て場に出すことや、子どもと一緒に入浴することで、自分は家事や子育てに十分参加している、と胸を張る夫。そんな言動を見て、「わかっていない」とため息をつく女性は多そうです。

コロナ禍が始まった2020年には、やはり「わかっていない」男性の発言がたびたび登場して問題視され、SNSで炎上しメディアでも話題になりました。そのうちの一つが、春にあった大阪市長による「女の人の買いものは時間がかかる」発言。コロナ禍の初期は、密になることを避けるため買い物の頻度を減らそう、と大阪の松井一郎市長も小池百合子東京都知事も訴えていました。そのなかで松井市長から、自分はお使いをすぐ済ませることができるのに、女性はいろいろ迷うので時間がかかるといった主旨の発言があったのです。

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夏には、「ポテサラおじさん」がバズりました。子連れの女性がポテトサラダを買おうとしたら、「母親ならポテトサラダぐらい作ったらどうだ」とシニアの男性が発言したというできごとがツイッターで広がり、問題視されました。その後も総菜に関する炎上案件は続き、翌年1月には、刺身パックをそのまま食卓に出した妻に「結婚した意味がない」と暴言を吐いた夫の事例が炎上しています。

 

家事の担い手ならば、感覚的にこれらの言動が相手をいらだたせるNGなものだとわかると思います。しかしなぜ、こうした言動をする男性がいるのでしょうか。そもそもなぜ、こうした言動は問題なのでしょうか。掘り下げて考えてみたいと思います。