少女漫画の王道を覆した章司の行動と、幸子の爪痕の残し方たるや……!


王子様なんて、この世にはいない。そう“現実”を教えてくれたのも、『NANA』でした。ヒロインのハチと交際していためちゃくちゃいい彼氏・章司が浮気をしたのが、当時高校生だった筆者にとっては、すごく衝撃的で……。「ヒロインの相手役が、浮気ってアリなの?!」と驚いたのを覚えています。

でも、たしかに現実って、そう上手くいく恋ばかりではない。大人になった今改めて読み返すと、面倒くさい女・ハチと交際していた章司が、健気な女・幸子に惹かれてしまったのも、なんとなく分かるんですよ(だからと言って、浮気はダメだけど!)。

そして、ただの浮気相手で終わらない幸子もすごい。爪痕の残し方、尋常じゃなくないですか? ハチが章司と別れてからは、そんなに登場していないのに、「わざとだよ?」(※章司に、「終電逃すの分かってて、なんでそーゆー靴履くかな」と言われた時に放った名台詞)の一言で、私たち読者の頭をこんなにも占領してくるなんて!

『NANA』をよく知らない友人から、「NANAってあの“わざとだよ?”のやつ?」って聞かれたこと、ありますもん。『ALL TIME BEST 矢沢あい展』でも、幸子の絵を見ながら、「うわ〜幸子憎いわぁ」って言ってる人、たくさんいました。これも、矢沢あいさんの凄さですよね。サブキャラにも入らないくらいの人物を、こんなにも印象的に描いてしまうなんて。

そして、大人になった今では思うんです。幸子みたいな女が、いちばん安定した幸せを掴めるタイプなんだろうなぁ……と。ハチと、人気バンドTRAPNEST(通称:トラネス)のリーダー・タクミが結婚したことを知っても、きっと幸子は羨ましがらない。なぜなら彼女は、平凡な日々を、何より幸せだと感じることができる人間だから。華やかなバンドマンを中心とした本作のなかで、幸子の“普通っぽさ”は異彩を放っていたように感じます。

『ALL TIME BEST 矢沢あい展』の様子(筆者撮影)

あと、本当にさまざまな男性が登場するので、「“推し”は誰?」と聞くと、その人のタイプが垣間見えるのも面白いですよね。ちなみに筆者は、圧倒的にナナの彼氏・レン推しでした。『ALL TIME BEST 矢沢あい展』では、レンのイラストがたくさん見られてうれしかった〜(ちゃっかり、複製原稿も購入しちゃいました!)。

 

まだまだ語り足りないけれど……今回は、このへんで。みなさんの推しキャラ&推し作品も、教えていただけたらうれしいです!

 

前回記事「川口春奈&目黒蓮の化学反応は...?ドラマ『silent』がやっぱり期待しかないワケ」はこちら>>

 
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