自分の中にある言葉しか結局は使いこなせない


ーーmi-molletでは常々、「文章を書きたい」「自分のことを書いてみたい」という読者の方の声をいただくことが多くあります。宇垣さんは、キャリアのスタート時から「書く人」だったと思いますが、ご自身が文章を書く際に気を付けていることはありますか。

 

宇垣美里さん(以下、宇垣):私はリズム感のある文体が好きなので、自分の文章も実際に読んだ時に心地いいリズムであるよう意識しています。例えば、全ての文章が「ます」で終わっていたら、ちょっと気持ちが悪いじゃないですか。たとえば「落語」は内容の面白さや話者の魅力みたいなものはもちろんのこと、話すリズムにどんどん引き込まれていってしまう、という方も多いと思うんです。ですから文章も、書き終えたら必ずリズムをチェックするために読み返すようにしています。あとは「書き出し」にこだわる! ここが面白くないと、なかなか全体を読む気にならないと思うので、導入部分はすごく悩みます。それから私はちょっと変な「擬音語」が好きなので、そんなものも入れたりして、楽しく読めたり、私らしかったりする文章に整えています。

 

ーーご自身のエッセイは、テーマを決めてから書くのでしょうか。

宇垣:ものにもよりますが、基本的にはきちんと構成を考えてから書きますね。今はもうやらなくてもできるようになっていますが、『風を食べる2』も初期のころはノートに「起承転結」を書いて整理してから書き出すようにしていました。今でもマンガ評や映画評を書くときは、書きたいことをノートにバーっと書き出して、「この順番で話していこう」と整理し、その後それぞれに肉付けして……という方法をとっています。

ーー文章がうまくなるためにやるといいおすすめはありますか。

宇垣:やはり「語彙の蓄積」が大切なのではないかと思っています。自分が何かを表現しようとして、それを原稿にするとき、結局は自分の中にある言葉しか使いこなせないと思うんです。しゃべるときも、結局は知っている言葉しか話せないもの。ですから、何かを表現するには語彙が必要だと思います。本も漫画も映像作品も、どんなものからでも語彙は得られるので、いろいろな作品に触れるのも方法かと思います。また、上手く書けるようになるためには、人のエッセイを読むことなどもヒントになると思います。