未来の人類は「生理痛」とは無縁になっているのかもしれない【Femtech Fes! 2022レポ前編】_img0
イラスト/辛酸なめ子

好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。

本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。今回は日本のフェムテック市場を牽引する「fermata(フェルマータ)」が主催する、フェムテックの国際見本市とも言うべき「Femtech Fes! 2022」を取材。近年日本でも関心が高まっているフェムテックの最新動向を探ります。

 

女性の体に起こる変化を学ぶことができる、未来の保健室のよう


膣内細菌調査キットにホットフラッシュの熱を放出する衣類、母乳量測定デバイス、スマートバイブレーター……。六本木アカデミーヒルズで開催された「Femtech Fes! 2022」は、ドラえもん越えの未来の道具が一堂に会していて、驚きの連続です。

「Femtech」は「女性(Female)」と「技術(Technology)」を組み合わせた言葉で、テクノロジーを活用し、女性の健康とウェルビーイングをサポートするデバイスやサービスを表しています。ここ数年注目が高まり、市場が拡大し続けていて、日本でも2025年の経済効果が2兆円に達するという予測が。その「Femtech」の最先端の技術を知ることができるのが、こちらのイベント。2兆円と聞くと行くだけで金運が高まりそうです。海外渡航制限が少しずつ解除されて、海外のフェムテック企業の起業家や開発者も来日し、参加できるようになりました。

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kegelbell開発者のパートナーの方と記念撮影。学校の先生をされているとか。

六本木アカデミーヒルズにおしゃれな空間デザインの会場が出現。昨年よりもスペースが拡大して、来場者も多くにぎわっています。各企業ブースと、女性の健康の課題のゾーンがあり、「更年期」「尿漏れ」「メンタルヘルス」「妊娠」「産後」「セクシャルウェルネス」「その他ウェルネス」などといったジャンルにわかれていました。ふだん心の中に封印していた悩みを、ここではオープンにできるという解放感が。また、女性の体に起こる変化を学ぶことができる、未来の保健室のようです。

3回目の2022年は、世界33カ国・6地域から200ものプロダクトやサービスが集結。女性の体の悩みを解決してくれようとしている人が世界中にこんなにいる、と考えるだけで目頭が熱くなります。ただ海外のプロダクトのほとんどは「本製品は、医薬品医療機器等法未承認品のため、販売、授与できません」と書かれているのが切ないです。日本の管轄の機関に、いいものは早く承認してください、と言いたくなります。

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骨盤底筋トレーニングアイテムはおしゃれなデザインのものが多いです。

会場を見てみると、「尿漏れ」という一大ジャンルになっているだけあって、骨盤底筋を鍛えるアイテムや、吸水ショーツが充実していて、悩んでいる女性がたくさんいることがわかります。

そんな中、日本でも買える骨盤底筋トレーニングアイテム「ケーゲルベル」のブースに立ち寄ると、ファウンダーの女性のパートナーだというまじめそうな男性が説明のためにスタンバイしていました。話しかけてみると、奥さんはとても強い女性だと語り、リスペクト感を漂わせていました。「日本はゴミ箱が少ないのに、なんでこんなにゴミが落ちていなくて街がきれいなんだ?」と素朴な疑問をぶつけられ、海外の人の感想で日本の良さを再認識。

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女性器に入れて骨盤底筋を鍛えるkegelbellは日本でも売られています。

「Femtech Fes! 2022」は、一見したところ革新的なのは海外のプロダクトばかりで、日本のテクノロジーが心もとなく感じていたのですが、日本のクリーンな街並みを評価され、少し肯定感が高まりました。

 
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