好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。

本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。前回に引き続き、フェムテックの国際見本市とも言うべき「Femtech Fes! 2022」の様子をお届けします。今回はアメリカから来日したフェムテックの有識者にインタビュー。日本よりフェムテック・ムーブメントが先行しているアメリカの最新動向、フェムテックとフェミニズムの関連性等、興味深いお話をたくさん聞けました!


前回記事
未来の人類は「生理痛」とは無縁になっているのかもしれない【Femtech Fes!2022レポ前編】>>

 


「フェムテック」という言葉ができて、女性が自分の体の悩みを言いやすくなった


「Femtech Fes! 2022」の会場には、海外の出展者やフェムテック企業の起業家などが来場していました。その中でお話を伺ったのは、フェムテック市場の盛り上がりについて詳しいと思われるBrittany Barreto(ブリタニー・バレット) さんです。「Femtech Fes! 2022」主催のfermata(フェルマータ)と創業直後からパートナーシップを組んでいるフェムテック市場分析の第一人者であられるDr. Brittany。博士の肩書きに説得力が。お会いしてみるとポジティブで頼れるお姉さんという感じで素敵な方でした。

「もともとは遺伝子学を研究していました。フェムテックという言葉ができたのは2016年頃。当時、投資家としても仕事していたのですが、フェムテックに興味を持ったのは女性の健康についての商品を開発している企業の起業家から相談があったことからです。彼女にビジネスの相談をされる中、資金集めの難しさについて伺いました。彼女は、子宮頸がんの治療後、子宮の形が変わらないようにするためのステント(※編集注:人体の管状の部分を管腔内部から広げる医療機器。金属でできた網目の筒状のものが多い)を作りたい、という目的意識を持っていたんです。男性用のステントはあるのに女性用はない、ということに気付きました」

 

ウェルネス市場の男女の不平等さに意識を向けたDr. Brittany。「フェムテック」という言葉ができたら、女性が自分の体の悩みを言いやすくなった、という良い変化が起きたのを体感したそうです。

「同じ志を持って取り組んでいる同士、お互いが見つけやすくなりましたね。これまで”women's health”と検索しても、漠然とした情報しか出てこなかった。あまり関係ない、近所のジムが検索トップに出てきたり。でも、”femtech”で検索したら、女性の体の悩みに解決策をもたらすソリューションが出てくるようになって。この症状で悩んでいたのが自分だけじゃないとわかったり、似たような症状を探しやすくなりました」

私の場合もスケールは小さいですが、体調にトラブルがあったら知恵袋で同じ症状の人を検索して、情報収集しています。

『フェムテック』という言葉のおかげで、女性の起業家同士のつながりもできました」と、さらに高い次元にいらっしゃるDr. Brittany。ところで今回「Femtech Fes! 2022」に伺い、デバイスやサービスなどがどんどん進化しているのに驚かされました。今後もこの業界はテクノロジーが発展していくのでしょうか。

 
  • 1
  • 2