時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

「国際男性デーなんていらない」とは思わない。女性たちの100年の闘いは男性社会ゆえのものだから_img0

11月19日は、国際男性デー(IMD=International Men’s Day)でした。と言っても100年以上の歴史を持つ国際女性デー(3月8日)のように国際社会で広く公認された日ではありません。今年は日本のメディアでもたくさん記事が出ていましたが、まだまだ認知度が低いですね。

中には、国際男性デーなんて不要だという人たちもいます。男性は女性よりも経済的社会的に優位に立っているのだから、男性をわざわざケアする必要なんてないと。構造的に男性の方が圧倒的に有利な社会であることは確かですが、だからこそ彼らが自らの強者性や加害性に無自覚な現状を変える必要があります。それには、彼ら自身が耐えて順応している男性社会の歪みについて自覚することが第一歩です。

 

国際男性デーの歴史は浅く、誕生したのは1999年。提唱者はトリニダード・トバゴの西インド諸島大学教授、ジェローム・テラクシン氏です。11月19日はテラクシン教授の父親の誕生日なのだとか。より良いジェンダーリレーションや男性のロールモデルを模索・推進し、分断されがちな男性の運動の連帯を目指して創設されました。トリニダード・トバゴのほか北米、イギリス、オーストラリアなどで積極的に展開されています。

イギリスでは、中でも男性の自殺率の高さに注目しています。全自殺者に占める男性の割合は75%ほど議会では国際男性デーにちなんで、男性や少年の教育・健康・自殺・メンタルヘルスなどの課題を議論しています