時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会現象について小島慶子さんが取り上げます。
オーストラリアで暮らしている大学2年生の長男が、こんな動画があったよとリンクを送ってきてくれました。見ると、東京を旅している外国人旅行者が撮ったもののようです。券売機の前で悩む男性。魚市場に行きたいのか、ブツブツ言いながら画面をタップして、わかんないなあとお助け要請ボタンを押した模様。すると券売機の横の小窓が開いて中から人の顔が。さらに小窓の下の壁面が空いて、人の上半身が現れ、画面をタッチ。立ち上がって頭上の巨大な路線図パネルを指してあれこれ説明、にこやかにまた壁の中へと引っ込んでいったのでした。
親切な駅員さんのユーモラスな姿と驚いている旅行者の様子に大笑いしてしまいましたが、券売機の裏が事務所みたいになっているとは知らなかった……。「まさか中に人とはね」と東京の私の部屋と繋いだ端末画面の向こうの長男くんと笑っていたら、
「あ、そういえば僕、こないだバイト先の人の小5の子供と話してて、ミッキーの中に人が入ってると言ったらすごい驚かれて」
「ええっ、その子、もう小5なのにまだミッキーは芯までミッキーだと思ってるの?!」
「いやそうじゃなくて、ロボットじゃないんだって驚いてた」
「おおーアルファ世代ー」
「一瞬、やばい俺はこの子の心のミッキーを殺してしまったかと焦ったけど、最初からロボだった(笑)」と。
そのうち夢の国では「ミッキーはロボットではありません」が合言葉になって、親子が記念撮影しながら「昔は着ぐるみと言って、中に人が入っていたんだよ」「うわー、中に人?!」なんて話すのが定番になるのかも。まあもちろん、ミッキーは永遠に芯までミッキーなのですが。
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