「過去において、ひとりっ子や長男・長女というのは、自立できない甘えん坊というネガティブな捉え方をされました。しかし、学習面においても、人間力という面でも、ひとりっ子はとても伸びしろが大きいのです」と語るのは、進学塾VAMOSの代表を務める富永雄輔さん。

富永さんが運営するのは、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る、日本屈指の“成績が伸びる塾”。毎日子ども一人ひとりの個性に向き合う中、「ひとりっ子には独特の特性があり、そこを大事に指導すると、学力が驚くほどアップすることが経験的にわかってきた」と言います。

そこで今回は富永さんの著書『ひとりっ子の学力の伸ばし方』から、同じひとりっ子でも女の子と男の子で違う「可能性の育て方」について、特別に一部抜粋してご紹介します!

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多くのひとりっ子に共通する特徴がある 


ひとりっ子はメンタルが弱いというのは、間違った思い込みです。むしろ、いくらでも強くなれるのがひとりっ子です。

自分の上に強い兄や姉がいることで、かえって自信をなくし、小さくまとまってしまう下の子も多いのですが、ひとりっ子の場合、弱さも強さも感じず、とてもフラットな存在でいられます。

ただ、ひとりっ子は競争心が弱い傾向にあるのは事実です。兄弟姉妹と好きなお菓子を取り合うことも、テレビのチャンネルを争うこともないのですから当然でしょう。

これまでの社会では、子どもは競争心で伸びてきた一面があり、競争原理が働きにくいひとりっ子は不利だと思うかもしれません。しかし、今はそれも変わってきています。

モチベーションを、「人に負けたくない」というところからではなく、「自分はこれが好きだから」というところから喚起し、さまざまな分野で頂点を極めるまでに成長している若者が多いのです。

私が関わっているサッカーの世界でも同様で、ある選手は競争心の乏しいひとりっ子で、親から与えられたいろいろな機会の中から「好き」で選んだサッカーを続け、日本代表にまでなりました。今後は、彼のようなケースが増えていくでしょう。

競争心がないからダメなのではなく、「競争心が欠けているから競争じゃないところで勝つ」という考え方は、ひとりっ子ならではのものと言えます。