20代までは男女の“上昇志向”率に差は感じない


日本の女性の起業家は、増えてきているとはいっても、男女比率でいうと2割ほどと圧倒的に少数派です。また女性管理職比率も、いまだ1割程度。女性が働くこと自体は当たり前になってきたものの、「上を目指す環境」となるとまだまだ整っていないことを感じます。

このことについて、ひろゆきさんは次のような持論を述べていました。

ひろゆきさん(以下、ひろゆき):どんどん上に行って収入が増えていったとして、年収が1億円ぐらいを超えてくると、意外と使い切れなくなってくるんですよ。お金を稼ぐ目的って、広い家に住んで、家族が不自由なく暮らせて、子供にいい教育を受けさせる、というところが大きいですよね。でもそれって年間1億もいらない。そうすると、それ以上稼いだところで、使う先は高級車や高級時計を買うといったことしかなくなってきます。そこに興味がない人の場合、「もうお金は充分あるのに大変な思いをして働き続ける意味があるのか?」と思い始めるのが普通だと思うんですよね。

ひろゆき「地方に住んでいるほうが圧倒的に豊か」何のために働くのかバイアスなしに考えるには?_img0
写真:Shutterstock

実際、ディー・エヌ・エーを起業した南場智子さんはプライベートを優先して一時期CEOを退いていましたし、ピーチ・ジョンを起業した野口美佳さんも2015年に同社を退社しています。ソフトバンクの孫正義さんのように「生涯オーナー」みたいな気概でもない限り、働き続けるモチベーションって保ちにくくなるはず。その点ではとくに、女性のほうが現実的で賢い生き物だと僕は思っていて。もちろん今の社会で男性より上を目指しにくいというのはあると思いますが、一方で、生活と関係ないところにエネルギーをかけるバカらしさに早々気づいてあまり上を目指さなくなる、という実情もあるんじゃないかと思っています。

ひろゆきさんの肌感覚としては、20代まではこの「上昇志向率」に男女差はない、と感じているそう。

 

ひろゆき:むしろ20代の頃は女性のほうが戦闘力が高いと感じています。おそらく女性は、男性に比べて何かとハンデがあると分かっているので、早くからその準備をしっかりしているから。僕自身、従業員を見ていて、20代は女性のほうが順応力が高いなと感じます。というのも、社会や企業というのはよく分からないルールや慣習で回っている部分も多いもの。社会に出たての頃は、男性は意外と「え、なんで?」とマジメに戸惑ってしまうのですが、女性は「そういうことなら従います」と割り切って前へ進めるところがある。だから採用試験をしたら、全員女性を雇いたくなるほど圧倒的に優秀なんです。

ただ、これがずっとは続かない。女性は子供を産むと突然変わってしまうんです。子供が一番で仕事はどうでもよくなる人もいれば、同じく優秀なままでも、現実的に家事・育児が忙しいので昔のような馬鹿力を出せなくなる人も多い。これはアイドルなどの“推し活”に当てはめて考えてみると分かりやすくて。“推し”が仕事のときはめちゃくちゃ頑張るし優秀なんだけれども、他の“推し”ができてしまったとき、ものすごいスピードで仕事に向いていた情熱が消え去ってしまう。それが当然といえば当然なんですけど、その点は、男のほうが頭が悪いというか切り替え下手なので、仕事への情熱は消えにくい気がするんですよね。