大女優・宮本信子さんが熱気あふれる台湾・台北金馬映画祭の会場でこれまでの女優人生からこれからのこと、そして巨匠・伊丹十三監督の妻としての想いを語り尽くしてくれました。『マルサの女』や『お葬式』『タンポポ』など日本映画史に残る伊丹十三監督の全10作すべてに出演したことはあまりにも有名な話。4Kデジタルリマスター化されて鮮やかに甦り、時代も国境も超えて脚光を浴びる作品の裏側には、宮本信子さんのしなやかな生き方がありました。
映画は、お客さまに見ていただいてこそ成り立つもの
「伊丹さんが亡くなってもう25年が経ちます。好きな街の台北の映画祭で4Kデジタルリマスター化された全10作品を上映してくださるなんて、本当に稀なことだと思います。皆さんには感謝しかありません。伊丹十三映画は本当に楽しい映画なんです。伊丹さんも生きていたら、どんなに喜ぶか。本当にありがとうございます」
と、感謝の言葉を述べる宮本信子さん。映画界に新風を吹き込んだと言われる伊丹十三監督の伝説的なデビュー作『お葬式』(1984年)の主演から始まって、海外でも評判を呼んだ2作目の『タンポポ』(1985年)、そしてシカゴ国際映画祭で最優秀主演女優賞をはじめ数々の賞を受賞した『マルサの女』(1988年)など、宮本信子さんにとって思い出深い作品の数々が11月2日から20日まで開催された台北金馬映画祭の期間中、「伊丹十三監督全10作品4Kデジタルリマスター版・回顧上映」として特集されました。上映チケット発売後に即ソールドアウトになるほどの人気ぶりは予想以上です。
「会場にたくさんの若い方が集まってくださいました。特に女性がとっても元気で。皆さんから活気あるエネルギーを感じました。何より、古い映画なのに喜んでくださって、伊丹さんって本当に凄いなって思います」
宮本信子さんは続けて、1964年の初舞台から60年近くエンターテイメントの世界の一線に立つ女優として、今回の機会を感慨深く語ります。
「やっぱり映画って、お客さまに見て頂いてこそ成り立つもの。お客さまと呼吸しているものなんです。でも、一生懸命作っても残念なことに消えていく映画もたくさんあります。そんななかで、伊丹さんが監督として14年間で製作した10本全ての作品が皆さんから支持され、亡くなってからも映画館の大きなスクリーンで見てもらう機会を作ってもらえるなんて。こんなに嬉しいことはありません」。
懐かしい!「マルサの女」など伊丹十三作品の場面カット&台北金馬映画祭での宮本信子さん(写真9枚)
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