モナコの大富豪は「傲慢」とは無縁
モナコの大富豪は、どんなにお金持ちでも、傲慢な態度を取りません。たとえ相手がお金を持っていなくても、ブランド品を持っていなくても、誰とでも等しく穏やかに会話をします。
私は、ルイ・ヴィトンのプライベートイベントに招待されたことがあります。楽しみではありましたが、同時に不安も抱えていました。
「何を着ていったらいいんだろう?」
「高価な商品をすすめられたとき、どう断ればスマートかな?」
プライベートイベントは顧客ごとに時間制で、会場である豪華なレジデンスの1室に1組ずつ入ります。不安な気持ちを抱えながらウェイティングルームでそわそわしていると、前の時間に訪れていたマダムがレジデンスから出てこられました。
マダムは私に気づくと、にこっと微笑みました。そして、私の緊張をやわらげるかのように、「It's my pleasure to meet you.」と英語で声をかけてくださったのです。日本語にすると、「あなたに出会えたことは私の喜びよ」という感じでしょうか。「ボンジュール(こんにちは)」ではなく、「あなたに出会えたことは私の喜びよ」。その一言に私の心は一気に緊張から解き放たれ、「せっかくの機会なんだから、この瞬間を楽しまなくちゃ!」とリラックスすることができました。
モナコでのさまざまな出会いを振り返ってみると、「また会いたい」と感じさせるオーラをまとった人たちは、言葉のギフトをプレゼントするのが上手な人であることに気づきます。そんな言葉をかけられるのは、一つひとつの出会いに意味を感じ、「相手が喜ぶように」という心配りがあるからです。
「あなたと一緒に食べるお料理、最高においしくて満足でした。ありがとう」
「今日をこんなにも楽しく過ごせたのはあなたのおかげよ」
そんな一言が言えるかどうかで、出会いは大きく変わります。
「あなたに出会えたことは私の喜びよ」と言われて、嫌な気持ちになる人なんていませんよね。幸せを分かち合える言葉をさらりと口にできる人は、出会った相手に好印象を与えます。その積み重ねが、「会うたびに人を惹きつけるオーラ」を身にまとわせていくのです。
『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく』
著者:エミチカ PHP研究所 1650円(税込)
50歳で夫を亡くし、キャリアゼロの専業主婦ながら美容ビジネスで成功し、世界中のセレブが集まる国・モナコでの幸せな生活を手に入れるまでになった著者が、モナコで学んだ幸せに生きるための極意を伝授。栄光と挫折の両方を経験した人ならではの深い洞察と、前向きでユーモアに満ちた発想に魅了されます。
構成/さくま健太
Comment