飛ぶ鳥を落とす勢いで人気のEXITりんたろー。さんの初書籍『自分を大切にする練習』は発売1ヵ月で3刷重版が決定。「美容のHOW TOが詰まっているのに美容本ではない一冊になった」と著書が語る真意とは? 美容メディア『VOCE』で連載を担当し、本書の担当編集者が話題の理由を語ります。

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チャラ男キャラで大ブレイクして、「毎年消える芸人」と言われ続けて3年余り。風評はどこ吹く風で、安定した地位を獲得しているお笑いコンビ、EXITのりんたろー。さん。美容メディア『VOCE』の約2年半の軌跡をまとめて一冊に……というわけにはいかなくなったのが、この書籍です。

連載開始当初、「モテたい」「カッコよくなりたい」を連呼して、美容を楽しんでいた著者ですが、途中からどんどん美容への向き合いが変容していきました。

「連載の回が進むごとに、点と点が線になっていくのを感じました。そして、僕へのオファーは『美容の新しいフェーズの扉を一緒に開けましょう』というVOCEからのメッセージ(そんなことは一切言われてはいないのだけれど)なのだと気づき、使命感にも似た無限のエナジーが注入されていくのを感じました。「キレイになりたい」と思う気持ちは誰にでも平等で、それを努力したり、楽しんだりすることは、もっと自由に、気軽にチャレンジできていいはずだ。僕がそれを自ら体現し、見せていく。そう考えるようになったのです」
(出典:イケメンでもない、お笑い芸人。「だから、僕は美容を語る」より)

感覚を研ぎ澄ませながら、むき身で自身も晒しつつ、立ち回り、時代の波に乗り続ける。そんな売れっ子芸人の鋭い嗅覚に、まず深く感心しました。そして、当初、「美容の基礎知識のインプットと美容トレンドに触れていただくこと」と想定していた連載の計画を大きく変更し、美容を広くセルフケアととらえ、インナーケアやメンタルケアの取材を増やしました。

老若男女問わず、初心者の方、美容をおさらいしたい方、たくさんの情報がありすぎて何からどうしていいかわらない方に向け、HOW TOや考え方をできるだけシンプルに。スキンケア、ボディメイク、メイク、インナーケア 、メンタルケアのカテゴリー別にボリュームをさいて紹介。

幼いときから紫外線アレルギーが原因で軽いいじめを受け、人前に立つ職業についてからは笑いの現場で容姿いじりを受けてきた。そして、美容関連の取材を経て、「美容って、レジャーになる人もいれば、枷(かせ)になる人もいるんじゃないか?」と思うにいたった著者。コンプレックスだらけだった著者だからこそ、見た目磨きのためだけではない美容の奥行きに気づくにいたった思考の道程もきちんと表現できるよう、エッセイ部分を軸にした構成を共に練りながら、執筆いただきました。

心身ともにギリギリで、ストレスにより体重は100kgを超えた。EXIT結成前の苦悶、結成後の葛藤も赤裸々に。

本書では、精神科医直伝の「自己肯定感×行動=自信」という公式が出てきます。悶々と悩んでいるくらいなら、どんな小さいことでもいいから行動をおこしてみる。自分を後回しにしたり、「どうせ私なんて」と思ったり……そんな時、日々当たり前のように行っているスキンケアや食事などの、日々のセルフケアという「行動」を通して、「自分は大切にされるに値する存在なんだ!」と感じることができる時間を、毎日少しずつ持つ。その小さな行動の積み重ねが、どれほど一個人を大きく変える原動力に変わるのか。単なるHOW TO本としてだけでなく、それを追体験できることが今作の醍醐味だと考えています。

専門家による詳細な解説は巻末のカラーページに。「これから美容を始めたい。学び直したい、親しい友達に教えるようなスタンスにこだわりました」(りんたろー。)


毎日は、ビュンビュンと音を立てて過ぎ去ります。仕事や家族のために時間を使い、自分自身のために使える時間は本当に限られている中年期には自己肯定感がドン底になるというデータも出ています(出典:『ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する』/CCCメディアハウス)。つまり、中年期に「気づけばトンネルの中」というのは、ほぼ自然の摂理ということ。
であるならば、日々、自分を責めるのでも、落ち込むのでもなく。この一冊が、著者にとっての美容にあたる存在を見つけ、何かしらの「自分を大切にする」行動を始めるキッカケになれば、と思います。
 

『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
¥1650(講談社)

南海キャンディーズ山里亮太さんからは、「流れ出る涙で洗顔したくなるという、初めての感情に出会える本」。麒麟川島明さんからは、「ページをめくるたび心もポンポン軽くなる一冊」と紹介された。読者からは「美容のことを誰にも聞けなかったから有り難い」「反抗期只中の娘にも読ませたい」「自分のことは好きではないけれど、まずは、自分を大切に扱ってみることから始めてみたくなった」……読者からもたくさんの感想が届いている。


著者プロフィール
りんたろー。

1986年生まれ。2008年4月、東京NSCに14期生として入学。2017年末に兼近大樹を誘い、お笑いコンビ「EXIT」を結成。ネオ渋谷系チャラ男漫才と称するしゃべくり漫才のツッコミを担当。ネタ作りも担う。



文/大森葉子(VOCE編集部)