地上波ドラマ
『ナンバMG5』
『エルピス』も『あなたのブツが、ここに』も『作りたい女と食べたい女』も良かったけれど、ただただ次回が待ち遠しく、同業者と「見た?」「サイコーだよね!」と一番盛り上がった地上波ドラマはこれでした。ヤンキー一家の次男・難波剛(間宮祥太朗)が、親に内緒で普通の高校に通うことで発生する事件や問題に絡めつつ、剛が家族の期待に応える生き方から脱却する姿、剛と市松高校の伍代(神尾楓珠)と千葉商業高校の大丸(森本慎太郎)の友情、剛と深雪(森川葵)の微笑ましい恋などを描く青春ドラマ。
何がいいって、剛とクールな伍代、硬派でおバカで根は優しい大丸が、お互いを認めながら付かず離れずのトリオになっていく様子。ここには少年漫画原作の良さがぎゅっと凝縮されています。また、本作がプライム帯連続ドラマ初主演となる間宮祥太朗は、剛の二面性をキャラ化せずに同じ人物として丁寧に演じきり、若手のネクストブレイクから主演級へとステップアップ。
長瀬智也が演じるヤクザが年齢をごまかして高校生になる「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」(2006年)の設定に少し通じるものがあるからか、彼の繊細かつ大胆な表現力と器の大きさに長瀬の遺伝子を感じるな……宮藤官九郎作品と間宮祥太朗の相性も良さそうだしな……とぶつぶつ考えていたら、難波家の豆(声:津田健次郎)役で名演技を見せていた柴犬の豆三郎が12月6日に亡くなっていたことを知り涙。その勇姿はこのドラマに確かに刻まれています。
配信オリジナル作品(海外)
『ナルコの神』
配信オリジナル作品(海外)のベストは、韓国映画のスター、ハ・ジョンウ(『チェイサー』『哀しき獣』『1987、ある闘いの真実』他)とファン・ジョンミン(『新しき世界』『コクソン』他)の初共演が実現したNetflixオリジナルドラマ『ナルコの神』。南米で一番小さな国スリナムを舞台に、麻薬の密輸に巻き込まれた民間人のカン・イング(ハ・ジョンウ)が、韓国麻薬王チョン・ヨハン(ファン・ジョンミン)の逮捕を目指す国家情報院に、スパイとして協力することに。
韓国映画はクライム・サスペンスは得意ジャンルですが、2時間では食い足りないなと思う作品も少なくありません。その点で本作は、1話約60分✕全6話を使い、本音と建前を使い分ける登場人物の駆け引きを、実力派俳優たちの芝居でじっくりと魅せていくので、鑑賞後の満足度が非常に高い。また、面白くなるまでの助走で脱落する心配もなし。第1話を見終えたときには「次のエピソードを再生」タブをクリックせずにはいられないはずです。
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