性欲がなくなることが「よいこと」と思っていた
そうだとすると、性欲がなくなったとき、セックスなんてもうしなくていいと思ったとき、私たちはいったいなにを失い、なにを手放しているのでしょう。
たとえば、次のようなことを私が知ったのは、つい最近のことです。
恋をすると、脳のなかにある古いニューロン(神経伝達物資)が、どんどん新しいニューロンに置き換わっていく。つまり、恋は脳のアンチエイジングだということ。
性欲をつかさどる男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減ると、男性も女性も元気がなくなり、女性も男性も性機能障害に陥りやすくなり、うつ病や不定愁訴になる可能性も高まってしまうということ。
つまり、性欲がなくなると、人は心身ともに衰え、不健康になる可能性が高まってしまうのです。早々に老け込んでしまうと言ってもいいでしょう。健康でいるためには、実際にセックスをするかどうかは別として、性欲を維持する必要があります。動物である私たちにとって、性欲は、食欲や睡眠欲と同じように、生きるうえで必要な欲望なのです。
それなのに私は、「年をとれば性欲がなくなるのは当たり前。それが枯れるということ。そうなれば世俗的な欲から離れ、悟りの境地に近づいたかのような、落ち着いた清々しい老後を過ごせるはず」と、まるで、性欲がなくなることがよいことのように思っていました。
その結果、私は、実際にほとんど性欲がなくなってしまい、腟のことなんてきれいさっぱり忘れてしまったのです。そのせいで、腟を含む骨盤内の筋肉が衰え、影響が全身に及んで、体調だけでなく精神面にも大きな影を落としていたのに、それに気づくことすらできなかったのです。
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