恋愛やセックスを、もしあきらめていたら……

60代、性欲を大事にしながら生きる。「年をとれば性欲がなくなり、枯れる」を是とする思い込みを捨てよう_img2
写真:Shutterstock

恋愛やセックスをあきらめても、人生がつまらないものになるわけではありません。私も、50歳を過ぎてから登山を始め、北アルプスに登ったり、ダンスを習ったり、女友だちと温泉に行ったり、娘と一緒に旅行したり、仕事仲間とお酒を飲んだり、仕事に精を出したりして、忙しく人生を謳歌していたのです。

それでも、仲のよさそうな夫婦を見かけたり、年老いた男女が恋をする外国映画を観たりすると、ふいに、疎外感と敗北感が入り混じったような悲しみがこみ上げてくることがありました。

私がそんな気持ちになったのは、「生涯をともにする伴侶を得られなかったから」ではありません。性愛の喜びを享受することも、あこがれが満たされることも、もうないと思うと、しみじみ寂しい気持ちになったのです。

そんなとき私は、「いつまで子どもじみたことを言っているんだ。愛なんて幻想にすぎない。そんなことは、もう十分わかっているだろう。一人でいても十分、幸せ。ほどほどでいい。多くを求めるな。一人ほど気楽なものはない。つまらないことを考えていないで、前向きに生きろ!」と言って、いつも自分を叱り飛ばしていました。

それが、潔く現実を受け入ること。それが大人としての正しい振る舞いと信じ、自分は恥ずかしくない人生を生きていると思っていたのです。

けれども考えてみたら、その当時、私は「新しい自分」と出会うことを拒否して、「停滞」を良しとする人生を選んでいたのではないでしょうか。停滞は退屈とあきらめを生み、人生から輝きを奪っていきます。そのままでいたら、私はきっと、訳知り顔でつまらない説教を垂れる、嫌味な老婆になっていたでしょう。

 

60歳からのセックスとは? オーガズムとは? 原田さんの飽くなき探究心が詰まった目次一覧
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オブラートになど包まない赤裸々な目次は、60歳からの性について真剣に語り尽くす本書だからこそ! 著者の原田さんが64歳で迎えた27年ぶりのセックスと、その後の奮闘ぶりを綴る第6章「私のセックス奮闘記」では、時に悩みながらも貪欲に“最高のセックス”を模索する二人の姿に、大きな勇気をもらえるはず!
 

著者:原田純(はらだ・じゅん)さん
1954年、東京生まれ。編集者。15歳で和光学園高校中退。1980年、長女出産。1989年、径書房に入社。現在、径書房代表取締役。著書に『ねじれた家 帰りたくない家』(講談社)、岸田秀氏との対談『親の毒 親の呪縛』(大和書房)『ちつのトリセツ 劣化は止まる』『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』(径書房)がある。YouTubeチャンネルは「【ちつのトリセツ】原田純」。

医療監修:関口由紀(せきぐち・ゆき)さん
『女性医療クリニックLUNAグループ』理事長。2022年現在更年期前の女性を対象とした『女性医療クリニックLUNA横浜元町』と、更年期後の女性を対象とした『女性医療クリニックLUNAネクストステージ』を主宰している。医学博士、経営学修士(MBA)、日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本性機能学会専門医、日本東洋医学会専門医、横浜市立大学医学部客員教授。女性総合ヘルスケアサイト・フェムゾーンラボ社長、フェムテック協会代表理事。

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『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』
著者:原田純 監修:関口由紀  径書房 1760円(税込)

老いを受け入れ、恋やセックスと縁遠い生活を送りながらも、人生を楽しんでいた著者。しかし、60歳から始めた腟ケアで心境に変化が! 60代の恋、そして27年ぶりのセックス。今まで真剣にセックスのことを考えたことがなかったという著者が、後悔しない人生を歩むために、性欲やエクスタシー、そして恋人との「気持ちいいセックス」について、自身の赤裸々エピソードも交えながら真剣に考えます。



構成/金澤英恵

 

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